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うまくいくか売れ残りマンションの買い取り・販売会社 

新都心リアルコーポ 「新都心プロパティ」設立

 

 報道によると、新都心リアルコーポレーション(神長安彦社長)は、売れ残り新築マンションを買い取り・販売する新会社「新都心プロパティ」を4月に設立するという。新会社は、不動産投資会社ケネディクスや外資系金融機関から買い取り資金の融資を受ける。初年度は年間1000戸から2000戸をデベロッパーや金融機関などから買い取り、適正価格に値を下げ、インターネットなどを通じて一般に販売していくという。

 このニュースを聞いてなるほどと思った。しかし、果たしてうまくいくのかという疑問も湧いた。

 販売に苦労しているデベロッパーにとっては渡りに船≠ゥもしれない。しかし、原価割れまでして処分するだろうか。遠隔物件などでは竣工して2割、3割しか売れていない物件も少なくない。2割、3割値を下げても売れない物件ももちろんある。このような物件は、新都心も買い取らないだろう。そのような物件に金融機関が買い取り資金を融資するはずもない。

 となると、残戸数が2割未満とか数戸の物件が該当するのだろうが、これも残戸数がそこまで減ればデベロッパーが自力で販売することだってできるはずだ。また、大手デベロッパーなどは残戸数の一括売却には躊躇するのではないだろうか。市場に見放された物件を世間に公開することになる。そのマイナスイメージのほうが怖い。 さらに、既購入者から値下げ分の割戻しを要求されかねない。

 結局は、苦境に陥っている新興デベロッパーなどがなりふり構わずに処分売りを進めるケースが中心になりそうだ。この場合でも、そのデベロッパーは、自ら売る力がないことを世にさらけ出すことになる。

 もう一つ、疑問な点は、新会社はインターネットなどを通じて販売していくとしているが、売れ残りマンションをインターネットで売るのは容易なことではない。値を下げれば売れる物件もあるかも知れないが、デベロッパーも新都心も利益≠確保している物件の値下げ幅にも限度がある。基本的にはマンションの販売はフェース・ツー・フェース≠セ。売れ残りなどはなおさらだ。

 新会社の船出がどのようなものになるのか注目したい。

 

(牧田 司記者 3月27日)

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