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三菱地所 「りそな・マルハビル」取得価格は高いか安いか

 

 三菱地所が、りそな銀行が所有する千代田区大手町1丁目の「りそな・マルハビル」の区分所有部分を取得した。土地面積は約6900平方b、建物延べ床面積は約7万4000平方bで、取得価格は1620億円だ。同社は、同社が組成する資産流動化法に基づく特定目的会社(SPC)に譲渡し、同SPCは取得物件とその周辺地も含めた将来的な一体開発について検討を進めることを予定していると発表した。

 これらのことについては、各紙が報道しているが、記者が注目したいのは、やはり高い買い物なのか安い買い物なのかということだ。

 土地面積は約6900平方bで、1坪当たりの取得価格は7755万円だ。現行の容積率は1300%だから、1種当たりの単価は約596万円だ。これだとかなり高い買い物と言えなくもない。ところが、同社は隣接する三菱UFJ銀行大手町ビルとの一体開発を行うのは間違いない。となると、様々な手法を用いれば容積率は最低でも1500%ぐらいになり、1700%も可能になりそうだ。

 仮に容積率を1700%とすると、建て替えた場合の1種あたり単価は456万円となる。昨年、森トラストが購入した虎ノ門パストラルより単価は低くなる可能性は大きい。

 さらに、道路を隔てた隣にはパレスホテルがある。敷地面積は約6万6000平方b。皇居が目の前に控える絶好の立地条件で、アンティークな家具・調度品も揃っている立派にホテルだ。しかし、建設されたのは昭和36年で、かなり老朽化している。阪神大震災後、耐震工事を一部行っているというが、やはりグローバル化が進展しているホテル戦争を生き抜くには建て替えは避けて通れないだろう。実際、建て替えの話もあるという。

 記者は、りそなビルと三菱UFJビルとこのパレスホテルを一体として再開発すれば、どこにも負けない素晴らしい施設ができると考える。ホテルの容積移転も考慮に入れると、りそなビルはさらに容積の上積みも可能となる。

 このように考えると、三菱地所はかなり安い買いものをしたということになるが、どうだろう。

 ホテル業界では、昨年、帝国ホテルと三井不動産が提携し、同ホテルの建て替えも視野に入れている。パレスホテルは、帝国ホテルのブランドには勝てないかもしれないが、何しろパレス≠ェ冠につく。三菱地所はロイヤル<zテルがある。2つのホテルを巡って三井不動産VS三菱地所の代理戦争が起こるかもしれない。記者はプリンス≠フ参戦も期待したいが…。帝国∞パレス∞ロイヤル∞プリンス≠ニ、ものすごいメンバーではないか。

 これは冗談で言っているのではない。わが国の老舗ホテルは建て替えでもしないと、外資系ホテルにはまず勝てない。

 

(牧田 司記者 3月26日)

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