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国交省 地価公示を発表 住宅地、商業地とも上昇

実勢地価は下落続く まだ高い≠ニの声

 

 国土交通省は3月24日、今年の地価公示を発表した。

 これによると、全国平均で住宅地は1.3%、商業地は3.8%となり、ともに昨年に続いて2年連続して上昇となった。三大都市圏では、平均で住宅地が4.3%、商業地が10.4%それぞれ上昇し、住宅地は2年連続して上昇、商業地は3年連続して上昇となった。都心部では、ブランド力の高い地域や優良住宅地、高度に商業業務機能が集積した地区では年間30%を超える高い上昇を示す地点が見られた。

 しかし、その一方で、昨年後半には上昇基調の鈍化が見られ、相対的に利便性・収益性が劣る地域では下落したとしている。

 住宅地で地価変動率がもっとも高かったのは「港区南青山4-20-4」 で、36.8%となった。坪当たり価格は835万円。ベスト10のうち8カ所が東京都で、仙台市の「錦町」(4位)と「上杉」(10位)の2地点が入った。

 商業地の変動率がもっとも高かったのは「仙台市中央1-10-1」で、40.1%となった。坪当たり価格は1073万円。変動率ベスト10のうち名古屋市が3地点、仙台市が3地点を占め、東京都と福岡市がそれぞれ2地点となっている。地方都市で変動率が高いのは、投資需要によるものと思われる。

 東京圏では、住宅地は平均で5.5%上昇し、2年連続して上昇。東京都区部は、都心回帰の動きやマンション需要、不動産投資等を背景として10%を超える上昇となった。また、25%を超える高い上昇率を示す地点は、港区と渋谷区の3地点に縮小した。 

 都下郊外部では、都心と結ぶ鉄道沿線の駅周辺地域を中心に武蔵野市、立川市、府中市や、川崎市、横浜市、千葉市、さいたま市などで上昇幅が拡大。しかし、圏域縁辺部では、住宅需要の回復などにより上昇地点が大幅に増加したものの、一部の地域では下落幅は縮小したものの依然として下落が続いているとしている。

 商業地では平均で12.2%上昇し、3年連続の上昇。港区、渋谷区、新宿区、豊島区などの高度商業地では30%を超える高い上昇地点が見られた。その要因として、景気回復が続く中、オフィス需要、不動産投資、都市再開発、地下鉄副都心線の開業期待などを背景とした賃料の上昇による収益性の向上や商業集積による繁華性の向上などをあげている。しかし、半期ごとの地価動向を見ると、昨年後半以降、上昇率が鈍化した地点が大半となったとしている。

 都下の郊外部では、立川市、武蔵野市、府中市などでそれぞれ上昇幅が拡大。また、横浜市、川崎市、川口市などでもそれぞれ上昇幅が拡大した。さらに、浦安市、市川市、千葉市では3年連続して平均で上昇となり、さいたま市などでも平均で上昇となった。

 また、地域の商圏の中心となるその他の中核都市では、それぞれ上昇幅が拡大。しかし、圏域縁辺部では、駅周辺の地域ではマンション需要等も見られ、人口増加による集客力期待等を背景に大幅に上昇地点が増加しているが、一部の地域では下落幅は縮小したものの、依然として下落が続いているとしている。

  ◇    ◆    ◆

 国交省の地価公示は、毎年1月1日現在の価格を発表することになっているが、実際はその前年の10月ぐらいだ。

 実勢地価は昨年後半から下げ基調に転じ、月を追うごとに下落している。現在もなお下落基調となっている。地価公示はおおよその目安には違いないが、今回に限って言えば、あまり参考にならない。市場の激変には対応できていないようだ。もっと機動的に対応できるような制度にしないと、存在価値が問われそうだ。今回の地価公示関連予算額は約45億円だ。

 マンション用地仕入れ担当者など関係者の間では、マンション用地はまだ買える価格まで下がっていないという声がほとんどだ。建築費が高止まりしているのも、買える環境にない理由の一つのようだ。

 

(牧田 司記者 3月24日)

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