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 「綺羅星 団塊力」

三井不動産販売「相創の場」ゼネラル・マネジャー伊藤正裕氏(59−下


伊藤正裕氏

 

人生も仕事も愛

「初めはただ何となくだった」入社動機

 同社には昭和52年に中途入社する。

 「当時、学校を出てからどうしても就職する気になれず、フラフラしていました。今から思えば単なるモラトリアム人間だったわっけですね。三井に入社したのも、たまたま新聞に募集広告が出ていたからです。当時、京王線沿線に住んでいたので新宿なら便利でいいか、というのが動機でした。

 それが入社してみたら社内は自由闊達で、何でも挑戦し、やらせてもらえるので、どんどんのめり込んでいってしまいました。文学には倦み疲れていましたから、結果数字だけで判断されるビジネスの世界は快感でしたね」

コンプライアンスの重要性を主張

 最初に配属されたのは法務課だった。法律の主旨に沿わない物件説明書(現・重要事項説明書)をめぐりクライアントである売主と激論を交したこともあるという。コンプライアンスの重要性を伊藤氏は主張した。その時は、上司に「そんなことやっているとクビになるぞと注意されました。軽くショックでしたね」

 その後、伊藤氏は「必要な人々に必要な『場』を提供しよう。『場』と向き合うと不動産の出発点が見えてくる。三井不動産が『場』を創り、三井不動産販売はそれを配分する。双方が協力しあっていい空間が提供できる。『場』は全ての産業の礎であり黒子です。私はその黒子の更に黒子となって働こう」と考えるようになる。 

 冒頭の『相創の場』やリパーク事業は、そうして生まれた事業だ。同社の不動産インスペクション事業を展開する子会社 「潟潟Xペクト建物調査」の社長も務めていた。

「この歳になって、どんどん情熱的になっている」

 伊藤氏は、次の言葉でインタビューを締めた。

 「これを言うのは気恥ずかしいですが、やっぱり愛ですよね。仕事も愛。社会のため、仲間のために働こうとする原動力は愛です。それと情熱ですよね。中国なんかに行くと、みんなパッションがある。たぎるものがある。どうも、今の日本にはパッションが足りないように思いますね。僕はね、この歳になって、どんどん情熱的になっているんです」

 好きな言葉は「至誠通天。誰も居ないところで独りでつぶやいていますよ」。真心を持ってものごとを行えば、いい結果がもたらされるという意味だ。「好きな作家はプルーストだが、最近面白く読んだのは4コママンガの『自虐の詩』(業田良家作)。あれは、泣けますよ」

 趣味はゴルフに、合気道。極めたかったのは大東流合氣武術。合格率が3割という森林インストラクターでもあり、明治神宮崇敬会の会員でもあり、今は森林を中心として自然環境を護っていきたいと念じている。

(おわり)

 

(牧田 司記者 3月17日)

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