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 「国立裁判」全て終結 明和地所が全面勝訴したが…

 

 東京高等裁判所が平成17年12月19日に下した「クリオレミントンヴィレッジ国立」に係わる「地区計画及び建築条例無効確認等請求事件」及び「損害賠償請求控訴事件」の判決を不服として、被告である国立市側補助参加人5名が最高裁判所に上告及び上告受理申立てをしていた裁判で、最高裁判所第三小法廷(近藤崇晴裁判長)は3月11日、上告棄却を決定。第二審東京高等裁判所判決が確定した。

 この裁判は、同社が国立市と国立市長を相手どって平成12年2月24日に提起した「@地区計画及び建築条例無効確認等請求事件」と、同様に同13年4月25日に提起した「A損害賠償請求事件」だ。

 東京地方裁判所は同14年2月14日、@についての訴えは却下し、Aについては建築計画を阻止する目的で地区計画及び建築条例を制定した国立市の行為は違法で不法行為であるとし、4億円の損害賠償を認める判決を下した。

 その後、双方とも第一審判決を不服として控訴。東京高等裁判所は同17年12月19日、@についての訴えは却下し、Aについては国立市に対して2500万円の損害賠償の支払を命じた。

 これを不服とした国立市側の補助参加人5名が最高裁判所に上告及び上告受理申立てをしていた。

 今回の判決により、8年間続いていた「国立裁判」は全て終結。明和地所が全面勝訴した。

記者の人生を変えた裁判 国立市民も多大な負担

 この「国立裁判」は、記者にとって他人事ではない裁判だ。問題が起きてからずっと取材を続けてきた。明和地所のマンション計画に対して、国立市側が裁判所に提出した「対案」を刑務所マンション≠ニ批判記事を書いたことで、記者の人生を変えた裁判でもある。

 記者の人生を変えたことはともかく、明和地所はその後の風評被害で数千億円の被害を受けているはずだし、全国的に建築物の絶対高さを規制する流れを作ったことでは、業界全体も大変な影響を受けた裁判でもある。

 問題にしたいのは、財政的に豊かでもない国立市も、この裁判にかけた時間と労力を金額に換算するとその負担額は数億円になるのではないかということだ。この種の裁判で行政が2500万円の損害賠償金を払わなければならないというのは前代未聞のことだろうし、この間の支払利息、裁判にかけた弁護士費用なども無視できない金額にのぼるのではないか。

 損害賠償金は当時の上原市長個人に払わせるという道は残されているのだろうが、おそらくそのようにはならない。上原市長の独走を許したのは当時の行政担当者であり一部の市民だからだ。結局は国立市民が負担することになるのだろう。行政や一部の市民の暴走を阻む意味でも、市民が監視する必要がありそうだ。

 参考までに、この裁判を主導した国立市の人たちは他の地域でも建物の絶対的高さを規制するよう行政などに働きかけているという。

 

(牧田 司記者 3月13日)

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