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新浦安と多摩センター 天と地ほどの売れ行き格差なぜ


新浦安駅前。中央の「エアレジデンス」は坪300万円をはるかに突破しているはずだ

 

立地も街並みも互角のはずだか異なるイメージ

 先日、新浦安に取材に行った。時間に余裕ができたので、わが街・多摩センターとの比較などいろいろ考えた。

 新浦安駅圏では、野村不動産が「プラウド新浦安」を分譲中だが、竣工までの全戸完売はならない模様だ。それでも全733戸の7割ぐらいは売れているし、坪単価190万円でグロス6000万円、7000万円を考えるとため息が出る。

 わが街、多摩センターはどうか。同じバス便で坪単価130万円、140万円の数十戸のマンションが1年間かかっても売れない。単価で3割も安く、グロスで半値であってもだ。

 この差は何なのか。人口は浦安市が約16万人、世帯数は約7万世帯、19年度の予算は772億円だ。一方の多摩市の人口は約15万人、世帯数は約6万世帯、19年度の予算は758億円だ。

 似たようなものだ。都心へのアクセスは東京へ16分の新浦安とくらべ、新宿へ29分の多摩センターでは、新浦安に軍配が上がるかもしれないが、京葉線は地上に出るのに時間がかかる。実質的には五分五分だ。

 都市施設だって互角だ。街並みはフラットな新浦安に比べて、起伏のある多摩センターのほうがいい。

 多摩センター(多摩市)が浦安市に劣るのは、財政力を背景にした街のイメージではなかろうか。浦安市は自主財源力が8割を超え、市民1人当たりの市民税額、道路舗装率、図書館利用率など全国トップクラスだ。現在は非開示だが、TDLが浦安市に納めた法人住民税と固定資産税額は15年度で75億円にのぼっていた。市の予算の約1割がTDLの納税額でまかなわれている。

 多摩市も財政力は悪くないが、浦安市には劣る。サンリオピューロランドも、このところのキティちゃんブームで市への貢献度は高いというが、TDLとはけた違いだろう。そして、何よりもニュータウン=オールドタウン≠ニいうイメージが定着してしまったことだろう。

負けた≠ニ思ったのは、街を行く人々の様子だった。コーヒー&ベーカリー店でコーヒーを飲みながら様子を観察したが、わずか30分足らずの間にバギーに小さな子どもを乗せた若い主婦の姿を4〜5組見つけた。デザインセンスも抜群だった。こんな光景は横浜市の都筑区ぐらいしかない。街が生きいきしているのだ。

 驚いたのはほかにもある。隣に座った若い主婦らしき女性は、メロンパンなど3個もパンを注文して食べていた。お金持ちは食欲も違うのか≠ニあきれ返った。そして、ふと壁に目をやると張り紙に「330円セット  200 円以下のパン1個と飲み物」「550円セット  200円以下のパン3個と飲み物」とあり、「食べきれない場合、袋を差し上げます」とあった。

 お店も客単価を上げるために工夫していることが分かった。行政も民間も、サービスの向上を図り、イメージ戦略を構築しないと都市間競争に負けるということだ。浦安市の松崎市長がライバルに上げるのは武蔵野市だというから、恐れ入った。

 

(牧田 司記者 3月4日)

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