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実現難しい原弘産の日本ハウズイングへのTOB 

 

 すでに各紙で報じられているので、詳細は省略するが、原弘産が日本ハウズイングに対して業務提携・株式の公開買い付け(TOB)提案を行ったことについて、記者の率直な感想を述べたい。

 原弘産の申し入れには驚いたが、日本ハウズイングはTOBを受けないだろうと思った。日本ハウズイングにとって業務提携のメリットはほとんどないからだ。逆に、首都圏で地歩を築けないでいる原弘産のあせり、いらだちがこのような一方的なTOBという形となって現れたのだろうと思った。

ポリシーが見えない原弘産

 記者は昨年、原弘産の首都圏の郊外マンションを2物件見学した。一つは、ヒューザーが開発した千葉県の物件で、もう一つは都内多摩地区の物件だ。

 千葉の物件は、同社がヒューザーの破産管財人から譲り受けて分譲したもので、耐震偽装とは関係のない設計・施工物件だった。100平方bマンションで坪単価も安く、いい物件だった。

 多摩地区の物件は、商品企画がいま一つで、このようなレベルであれば、同社が首都圏で事業拡大を図るのは容易でないと思った。

 坪単価400〜500万円ぐらいになるのではないかと言われている吉祥寺のマンション用地も取得から2年以上が経過したが、現地は更地のまま。建築予定の看板も出ていない。素地のまま売却するのではといった噂も流れている。

 いろいろ事情はあるのだろうが、足腰がふらついているように思う。ポリシーが見えてこない。

他社に先駆けペット飼育可に取り組んだ日本ハウズイング

 日本ハウズイングについてはどうか。記者はかつて、ペット飼育の是非について同社に取材したことがある。もう20年以上も前だ。今でこそペット飼育可は当たり前になっているが、当時はほとんどの管理会社がペット飼育不可の姿勢を貫いていた。親会社の意向だったからだ。

 ところが、同社はペット飼育に前向きな姿勢を見せた。一部のマンションでは細かな規則を設け、ペット飼育を認めていた。どこの系列にも属さない独立系管理会社として存在感を示していた。

 開発事業も行っていたが、手を広げなかったのは賢明な選択だった。唯一、同社の社運をかけた分譲と賃貸の複合マンション「カテリーナ三田タワースイート」(752戸)を一昨年分譲したが、設備仕様が高く成功すると思った。その通りになった。

 同社は2月26日のニュースリリースで、次のように発表した。

 「平成19年11月ころ、原弘産から、両社で経営統合及び提携等の検討をしたいという簡単な申し入れを受けたことはございます。しかし、当社の主力事業であるマンション管理事業において、当社がデベロッパー系ではなく独立系の企業として、管理組合の多種多様なニーズに対応し、また『現場第一主義』に徹することで管理の質を向上させることが当社の企業文化であるとともに当社固有の強みであり、その一層の具体化へ向けて社内の体制強化などに集中することが最優先であるとの考えから、かかる申し入れに関しましては、検討自体をお断りいたしました」

 今後、両社の話し合いが行われるのだろうが、一方的な原弘産のTOBは成功しないと見た。

 

(牧田 司記者 2月28日)

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