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「ホスピタリティは知的財産」という視点

 

 記者の知人が「ホスピタリティは知的生産物、知的財産だ」といった。ボランティアなどNPO活動をしている人だが、この「ホスピタリティは知的財産だ」という言葉に、記者は目からうろこの感がした。ホスピタリティをこのような視点で考えたことなど全然なかったからだが、逆にそのような視点でとらえるならば、ホスピタリティは一層輝きを増すからだ。

 そこで考えた。ホスピタリティを知的財産と考えるならば、それは権利として保護されるものであり、何らかの数値的な価値(価格)に置き換えられるはずだと。真っ先に浮かんだのがリッツ・カールトンだった。リッツ・カールトンのサービスの高さは衆目が一致するところで、宿泊料金がけた外れに高いのも納得する。

 しかし、それを法的に裏づけるものはあるのだろうか。

 2003年に施行された「知的財産基本法」には、「知的財産」とは、「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう」(第二条)とある。そして、「知的財産権」とは、「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう」(同条2項)としている。

 この法律に照らし合わせてみると、ホスピタリティは「役務」に該当する。具体的な権利としては「商標権」当たりに該当するのだろうが、門外漢の記者にはよく分からない。顧客満足度を飛躍的に高めるホスピタリティを実現すれば、「商標権」登録ができるということだろうか。

顧客満足度を数値化する取り組み−三井不販

 さらに考えた。記者は、三井不動産販売が昨年から「顧客満足度を数値化する取り組み」を始めたことに着目、早速、同社に取材を申し込んだ。同社広報担当からは「お話できる内容がない」と断られた。それはそうだろう。同社が手の内をさらすわけはない。それこそ守るべき企業秘密だからだ。

 それでも、どのような取り組みかは想像もつく。営業マンの成約件数はもちろん、お客様への電話の回数、その返事、クレームの処理の仕方などを数値で表すのだろうし、他の部署も顧客満足度をどう高めたかを数値化するシステムを構築したのだろう。親会社の三井不動産がCSナンバー1≠スローガンに業績を伸ばしたのと同様、同社の今後が楽しみだ。

「CS大賞」を設けスタッフを顕彰−東急リバブル

 ホスピタリティ向上の活動については、東急リバブルにも注目したい。同社は「期待を超える一つ上のお客様満足」をスローガンに掲げている。営業マンに取材すると、必ずホスピタリティ∞コンシェルジュ≠ニいう言葉が出てくる。「CS大賞」を設け、スタッフを顕彰している現場もある。

 ホスピタリティは知的財産≠ニいう視点を各社も徹底して欲しい。

 

(牧田 司記者 2月27日)

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