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顧客不在のマンションデベロッパーのホームページ

 

 最近のマンションデベロッパーのホームページにはひどいものがある。正確な物件情報を全然伝えていないのだ。

 ジャスダック市場に上場しているある中堅デベロッパーを例にとって見よう。

 このデベロッパーのホームページにはたくさんの新規マンションが紹介されている。昨年の前半から分譲されているある物件の物件概要には、分譲戸数は全体の2割ぐらいしかない1期分で、「竣工予定 平成19年8月上旬」となっており、「入居開始予定 平成19年8月末」と掲載されている。

 1年前から半年前の情報がそのまま更新されないで掲載されていることがこれで分かる。ほかの物件も同様だ。最新の情報がほとんど掲載されていない。IR情報だけは、当然だが一人前にきちんと報告されている。

 マンションだって基本的には生鮮食品と変わらない。物件概要には建築確認が下りた年月日の記載が義務付けられている。竣工予定日も入居予定日もしかりだ。購入者は、入居予定日から逆算して、資金計画や引越しなどの予定を立てる。「即入居可」のマンションなら、どうして残っているのかも気にかかる。

 さらに、建物の完成月日は時と場合によっては、大変な意味を持つときもある。だから「新築」の規定もある。

 公庫のフラット 35では「新築住宅」は「竣工から2年以内の住宅で住んだことがない住宅」とあり、「中古住宅」とは「築後年数が2年を超えている住宅または既に人が住んだことがある住宅」と規定されている。公取協の規約でも「新築」とは「新築のマンションであって、住戸ごとに売買するものをいう」とあり、「中古マンション」とは「建築後1年以上経過し、又は居住の用に供されたことがあるマンション」と規定されている。

 公庫と公取協の規定が異なるのはなぜなのかよく分からないが、購入者にとっては大きな問題であることには変わりはない。

 購入を検討する側の立場で考えれば、建物が半年前に竣工しているにもかかわらず、古いままの情報しか掲載されていないマンションなど買う気がしないだろうだろう。入居者だって、自分が買ったマンションが「入居予定」となっており、全然売れていないような情報しか公開されていなければ不安になるはずだ。

 記者は、マンションが売れないのは、このような無責任、無神経なデベロッパー経営者にも責任があると思っている。ありのままに売れ残りであることを表示しろと言っているのではない。需要を喚起する工夫はいくらでもあるといいたい。

 上場するために無理な売上げ・販売計画を立て、営業マンの尻を叩き、投資家・アナリストにしかいい顔≠しない経営者があまりにも多すぎる。

 

(牧田 司記者 2月27日)

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