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日本綜合地所の内定取り消し問題を考える

 12日行われた高層住宅管理業協会(黒住昌昭理事長=大京アステージ会長)の記者懇親会で、ある記者が黒住理事長に向かって「日綜の内定取り消しはけしからん」と語気を強めて言い放った。これに対して黒住理事長は「まあまあ、内定取り消しは婚約解消のようなもの。娘さんに傷が付かなかったと思えばいいこと」とやんわりと交わした。

 黒住氏のすごいところはこういう対応力だ。ストレートだろうが変化球だろうが、ブラッシュボールでもやんわりと受け止め打ち返す。内定取り消し問題を瞬時にして婚約解消≠ニいう分かりやすい問題に置き換えてみせる。柔軟な対応力ではこの業界に右に出る人がいないだろう。

 収まらなかったのはわたしだ。日本綜合地所は大好きな会社で、会社創業以来というか、西丸誠社長の明和地所時代からずっと取材してきた。

 同社はこれまで次々とユニークな商品企画のマンションを供給してきている。全開口サッシ、エアリビングバルコニー、100平方bマンション、奥行き4メートルバルコニー、1.4メートル廊下幅などだ。子育て支援、環境問題への取り組みなどでもよく知られている。

 こんな立派な会社が批判されたものだから、わたしはカッとなった。大新聞社の看板を楯にしたり顔でものをいう傲岸不遜な記者だと思った。その記者に「あなたは日綜のマンションを見たことがあるのか」と言ってやった(黒住ファンのわたしは、いい歳をしてもどうしても柔軟な対応ができない)。その記者の答えがこうだった。「豪華なマンションを供給している会社」

 レベルの高いマンション≠豪華≠ニいうのであればそれはそれで正解なのだろうが、何か勘違いしている。

 わたしはそれ以上何も言わなかったが、そういえばある業界紙が、今回の問題を時事通信によれば≠ニいう中近東かアフリカの出来事のように報じていた。これにもびっくりした。どうしてこのような記事を書くのか。堂々と同社に取材すればいいではないか。そんなに聞きたければ会社に押しかけるなり、西丸誠社長の自宅に押しかければいい。西丸社長は逃げるような人ではない。

 それはそれとして、日本綜合地所は今回の一連の報道によって相当のダメージを受けた。同社もここまで大きく報道されるとは思っていなかったに違いない。53人のうち半数とか3分の1とかの内定取り消しという選択肢もあったのだろうが、かえって不公平というそしりも受けかねないと判断したのだろう。西丸社長も断腸の思い、苦渋の選択だったのだろう。このダメージは良質なマンションの供給で跳ね返すしかない。

 内定を取り消された学生諸君は気の毒だが、捨てる神あれば拾う神あり≠ニいいたい。現段階で日本綜合地所のようなレベルの高いマンションを供給しているところはそうないが、街や人の人生を一変させるような住宅・不動産業ほど面白い仕事はない。日本の再生・活性化のリーダーとなるのもデベロッパーでありハウスメーカーだろう。

 懲りずにこの業界に飛び込む勇気を持って欲しい。禍福はあざなえる縄の如し=@若いのだからこれしきのことでへこたれるなといいたい。

(牧田 司 記者 12月15日)