RBA HOME> RBAタイムズHOME >2008年 >


渋谷区の富裕層 まだまだ増加の一途

億万長者は5年間で倍増

 記者はちょうど2年前、別掲渋谷区で激増するけた違いの富裕層(2006年12月7日)】の記事を書いた。渋谷区でいわゆる億万長者が激増しているという記事だ。激増しだしたのは平成17年以降で、株価や不動産価格が上昇し、団塊世代の退職が始まった頃だ。

 あれから2年。昨年はサブプライムローン問題をきっかけに不動産株が崩落し、地価も下落した。そして今年は9月のリーマンショックがあり、歴史的な株価の暴落があり、不動産市況は一段と冷え込み、あらゆる業種で業績の悪化が表面化した。

 この影響は、富裕層にもかなり及んでいるはずで、そのことを裏づけるべく取材した。残念ながら19年のデータは収集できなかったが、平成20年3月時点でのデータが手に入った。

 それによると、全納税者は121.342人で、総所得(課税標準額を割り出す前の総所得のこと)が5.000万円以上の納税者は1.628人だ。18年12月時点では1.486人だったので、2年3カ月の間に142人増加している。全納税者に占める割合はともに1.3 %と変わっていない。

 総所得が1億円以上の納税者は673人で、やはり18年12月より113人増加、全納税者に占める割合も0.05ポイント増加している。億万長者はこの5年間で倍増した。

 さらに、総所得が5億円以上の納税者は90人で、この人たちの1人当たりの平均所得は11億3.466万円だ。18年12月と比べると人数は11人増加し、平均所得は2億4.298万円減少している。

 さて、この数字をどう読むかだ。はっきりいえるのは、今年3月の時点では、不動産市況が悪化し、不動産株は暴落しているが、まだ富裕層のふところがそんなに痛んでいないとも判断できる。ただ、所得が5億円以上の人の平均所得が減少に転じているのは、やはり株価の下落の影響とも受け取れる。

 もっとも興味深いのは、現時点でどうなっているかだ。残念ながらこのデータは入手できない。行政も公表しない。ただ、三井不動産レジデンシャルと三菱地所が共同で分譲した定期借地権付き億ション「広尾ガーデンフォレスト」は来年3月入居で、総戸数は670戸もある。さらに来年3月入居の高額マンションは、三井不動産レジデンシャル・東電不動産の「パークコート神宮前」(385戸)もある。入居者は区外からの転入もありそうだから、富裕層の数はまだ増加するとも予測できる。

 ◇    ◆    ◇

 話は異なるが、例の定額給付金の問題だ。政府は支給方法については各自治体に丸投げしたが、少なくとも港区には課税標準額が2.000万円以上の納税者は5.000人、渋谷区でも3.000人ぐらいはいるはずだ。両方で1億円は下らないと推測できる。

 この人たちに支給するのかどうかはともかく、富裕層がどんどんお金を使いたくなるか、大金を寄付したくなるような施策のほうがわが国の活性化につながる。

(牧田 司 記者 12月10日)