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羹に懲りて膾を吹く≠スとえ 

銀行のフラット35保証型からの撤退

 

住宅ローンの審査が厳しくなった≠ニいう悲鳴はこのところよく聞くが、それと関連することが起きた。SBIグループの SBI モーゲージは12月1日、「フラット35(保証型)の申込受付を一時休止させていただくこととなりましたのでお知らせいたします。なお、【フラット35】につきましては、引き続き従来どおり取り扱いいたしております」と発表した。

 「フラット35(保証型)」とは、民間金融機関の住宅ローンを借りている人が返済が遅れるなどの場合に、住宅金融支援機構が金融機関に対して債務保証するもので、いわゆる買取型といわれる「フラット35」と区別されている。「フラット35」は、住宅金融支援機構が金融機関の住宅ローンの債権を買い取る仕組みだ。

 ユーザーにとって大きな違いは、保証型は物件の購入価格の100%融資も可能なところがあるのに対して、買取型は購入価格の90%融資という上限がついているという点だ。

 現在の利用状況を見ると、買取型が圧倒的に多く2万482件(20年4〜9月)であるのに対して、保証型はわずか7.026件(同)しかない。つまり、保証型は約26%しかないわけだ。

 どうして保証型を休止したのか、 SBI モーゲージに問い合わせたところ「ある金融機関が保証型から撤退したから」ということだった。

 記者は、保証型がいいのか買取型がいいのかよく分からない。ユーザーの立場からすれば100%融資がよいに決まっているが、その一方で住宅購入者は購入価格の10%〜20%ぐらいは準備しないといけないという考えもよく理解できる。

 しかし、緊急避難措置として、いますぐ100%融資を実施して景気を浮揚すべきという声も説得力があるように思う。首都圏のマンション市場に限れば、4兆円ぐらいの市場規模があるはずだ。このままいくと3兆円、2兆円に落ち込むかもしれない。物件購入にともなう消費も拡大する。定額給付金の2兆円などよりはるかに経済波及効果が大きい。

 金融機関がどうして保証型から撤退するのかよく分からないが、貸し倒れのリスクを回避しようとしているのは間違いない。追随するところが現れるかもしれない。

 しかし、わが国の住宅ローンは、アメリカのサブプライムローンとは比較にならない優良債権だ。羹に懲りて膾を吹く≠アとのような気がしてならない。失言ばかりで一向に支持率が上がらない麻生首相だが、住宅ローンの100%融資を実施する。ローン債務は政府が保証する≠ニでもぶてば、支持率はうなぎのぼりだろうし、景気は急回復するだろう。

(牧田 司 記者 12月2日)