RBA HOME> RBAタイムズHOME >2008年 >


 名実共に住生活総合サービス業*レ指せ 管理協


あいさつする黒住理事長


 高層住宅管理業協会(黒住昌昭理事長:大京アステージ会長)が 11 月 19 日に行った記者懇談会に参加した。同協会から今年度から始めたもので、記者が参加するのは2度目だった。

 市場環境が厳しさを増す中での今回の懇談会には、記者の厳しい質問が相次いだ。「マンションのダンピングはどう思うか」「中堅デベロッパーは売れ残りマンションの管理費や修繕積立金を払っていない」など、同協会に矛先を向けるのはどうかと思うような質問もあったが、黒住理事長ほか協会役員は一つひとつ真面目に答えていた。

 厳しい質問が言えるということは、それだけマスコミと同協会の距離が短いからであり、黒住理事長の人徳だとも思う。

 一つだけ、残念なことがあった。それは、前回、記者が参加したとき、黒住理事長は「創立 30 周年を機会に協会の名称も変更したい。現在の古臭い名称ではなく、住生活総合サービス業≠ニいうわれわれの目指す方向にふさわしいものにしたい」旨の発言をされた。その通りだと思った。

 しかし、今回の懇談会で、黒住理事長は「圧倒的多数の会員は、名称は現状のままでいいと考えているようだ。この問題は当分先送りする」と語った。

 現在、住宅・不動産業界にはたくさんの公益法人、業界団体があるが、その多くは消費者と向き合っていない。業界向きであったり、政府に対する圧力団体的なものであったりする。名称も「全国宅地建物取引業協会連合会」を筆頭に「不動産流通近代化センター」のような前近代的≠ニ思える名称のところもある。

 ところが、同協会に属する会員各社は日常普段に管理組合、つまり消費者と接している。毎日のようにマンションの生活ルールなどについて苦情を持ち込まれ、相談も受けている。つまり、数多い業界団体の中でもっとも消費者に近いところで事業を行っている。

 少子高齢社会の到来、マンションの建て替え問題など、社会環境は同協会が住生活総合サービス業≠ヨ脱皮することを求めている。名称変更などしなくともよいというのは、まさに悪しき「前例主義」だし、協会の保守的な体質の現れだ。名は体を表す≠ニはよく言ったものだ。

 黒住理事長は「仰る通り。ザイン(Sein)とゾルレン(Sollen)、目指す方向と現実には隔たりが大きい」(黒住氏は5〜6カ国語を操る)と語ったが、名実ともに住生活総合サービス業≠目指すためにも、ぜひとも名称変更に踏み切るべきだろう。身内に意見を聞くより消費者に聞けば名称変更に絶対賛成するはずだし、同協会が消費者により近づくことを希望するに違いない。

(牧田 司 記者 11月21日)