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 驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修

三井不動産・東電不動産「パークコート神宮前」


「パークコート神宮前」完成予想図

 
隈研吾氏ならではのガラス、格子ルーバーが特徴 

 三井不動産は11月19日、来春早々に分譲開始する定期借地権付き複合開発「パークコート神宮前」の記者見学会を開いた。期間50年の保証金方式による定借マンションだが、坪単価は超割安の318万だ。超割安の定借マンションでは住友不動産「シティタワー品川」が分譲されたが、立地・環境・グレード・隈研吾氏のデザインなど総合的に判断すると、また違った層が殺到するのは間違いない。

 物件は、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩6分、またはJR山手線原宿駅から徒歩8分、渋谷区神宮前一丁目に位置する16階建て全385戸の規模。専有面積は約37〜169平方b、価格は未定だが、坪単価は318万円。入居予定は平成21年4月下旬。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所、コイケデザインマネジメント。設計施工は竹中工務店。販売代理は三井不動産レジデンシャル。保証金方式による期間50年の定期借地権付き。土地所有者は東京都。事業主は同社のほか東電不動産。

 事業は、PFI事業「神宮前一丁目民活再生プロジェクト」の一環として行われているもので、平成17年9月、東京都の一般競争入札で、応募があった5グループの中から東電不動産・三井不動産・竹中工務店・太平ビルサービス・安井建築設計事務所のコンソーシアムが落札。5社が株式会社原宿の杜守(SPC)を設立して事業を進めている。

 マンションのほか、隣接地に10階建てオフィス・商業施設(民間施設)と15階建ての警視庁の施設が併設される。敷地内には既存樹の大木が残されるほか、オフィス・商業施設棟は壁面緑化が施され、マンションにも屋上緑化がなされる。プロジェクト全体敷地19.000平方bのうち約7,000平方メートルの緑地が確保(屋上緑化約1,000平方b含む)される。東郷神社に隣接しているほか、明治神宮、代々木公園にも近接するなど立地・環境に恵まれているのが特徴。

 建物デザイン監修は隈研吾氏。いかにも隈氏のデザインらしいガラスとアルミルーバーが格子模様に配されているのが特徴で、隈氏のデザインによる住戸(105平方b)も40戸用意されている。


建設中のマンション(東郷神社から)

◇     ◆     ◇

 「信じられるだろうか」…プロモーションビデオの画面冒頭に流されたコピーだ。このような立地にマンションが建設されることが信じられない、ということを想起させたくてこのようなコピーにしたのだと思った。ビデオの最後に流れたコピーは「夢は、突然かなう」だった。

 記者はすぐ計算した。「信じられない」というのはその通りだ。これほど立地・環境に恵まれた原宿駅圏内のマンションは過去10年、あるいは20年前にさかのぼってもないはずだ。おそらく所有権分譲なら坪800〜1.000万円と踏んだ。定借だから、価格を6掛けとしても坪500万円以上だろうと読んだ。10坪のワンルームでも5.000万円だ。「夢がかなう」のはごく限られた層だろうと思った。

 ところが、担当者に知らされた単価は何と坪318万円。わが耳を疑った。分譲価格のほかに、坪当たり月額地代として約3.700円(ローンには組み込めない。これは結構負担になる)を支払わなければならないが、それでも間違いなく割安だ。

 単価を聞いて、「夢は、突然かなう」とは、一般サラリーマンでも手が届くという意味に違いないと合点した。同社の最高級マンションシリーズパーク・マンション≠ノしなかったのは、様々な層の人に買って欲しい≠ニいう同社の配慮だと勝手に解釈した。37平方bタイプだと2.620万円からあるという。

 土地の所有者が都で、施工が竹中というのは住友不動産「シティタワー品川」と同じだが、「自ら居住」も「5年間の転売禁止」などはつかない。もちろん「中堅所得者に手が届くように」という都の指示もないようだ。

 隈氏は、マンションの建物デザイン監修は結構手がけられているが、インテリアデザインまで手がけられるのは少ないはずだ。樹の素材を加工したMDFという建具、飾り壁、シンプルなステンレスキッチン、 300 ミリの幅広特注フローリング、床から天井までの約2.3メートルのコーナーサッシとガラスウォールなどなど、隈氏ファンならずともうなってしまうデザインだ。

 一般分譲を前に行われた会員優先ですでに135戸が販売済みで、来場者は1.500組に達しているという。「品川」とはまた違った層の申込が殺到するのは間違いない。

  
隈研吾氏のデザインによるリビング(左)とキッチン


緑と水の広場 (完成予想図)

 

(牧田 司 記者 11月19日)