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外断熱マンションの康和地所が民事再生 負債額143億円

 

 康和地所(夏目康広社長)が10月31日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。負債総額は143億円。

 同社は1999年(平成11年)2月設立。「リリーベル」のブランド名でファミリーマンションの自社開発分譲を展開。2002年に首都圏初の外断熱マンション「 リリーベル両国北斎通りサーモス」を供給して以来、外断熱に特化したマンションの供給を続けてきた。

 しかし、昨夏のサブプライムローン問題をきっかけに業績が悪化。10月末の手形決済のめどがつかず、今回の措置となった。

 同社は同日、夏目康広社長名で「 民事再生の申立について」と題する文書をホームページで公開した。一部を抜粋する。

 「お客様にとって本当に住みたくなるマンションを提供したいという信念のもと、事業を続けてまいりました。この間、欧米ではスタンダードでありながら日本では殆ど施工のなかった「外断熱工法」に出会い、これこそがコンクリート躯体に最適な断熱工法であることを知り、『外断熱工法』の推進に邁進し、27棟1,035戸の外断熱マンションを供給してきました。
 

  その結果、弊社は日本における外断熱マンションのパイオニアとして知られ、お客様からも高い評価を得られるようになってきました。

 さらに、弊社はお客様のことを第一に考え、アフターサービスの専門部署としてCS推進部を設置、マンションの品質管理のシステムとしてLISシステムを導入、さらにマンションの原価公開など業界をリードするさまざまな試みを行ってきました…。

 当社の資金繰りが極端に悪化し、事業継続が難しい状況となってまいりました…。
弊社におきましては、このような状況に対し、第三者割当増資の実施等によって事業の建て直しを図り、また資金繰りについても、スポンサー探しや繋ぎ資金の調達を模索するなど、ぎりぎりまで最大限の努力をして参りましたが…。

 弊社といたしましては外断熱マンション事業をここで終わりにするのは忍びないとの思いがございます。必ずや、会社を再建し、御迷惑をおかけした皆様方に御恩返しするとともに、既にお引渡しをひかえているお客様にはアフターサービス等の責任を全うできるよう、精魂を傾ける所存です」

 ◇    ◆    ◇

 記者は、この報をあるデベロッパーから聞かされた。その直前には、ある郊外マンションの営業マンから「実は、私は康和さんの夏目社長には大変お世話になっていたんです」という話を聞いていた。20日前には、同社が近く分譲するコンパクトマンションでは初の外断熱マンション「リリーベル武蔵小山」の記事も書いた。

 それだけに、ショックも大きい。「なぜ、康和が」という思いだ。

 同社の夏目社長とは、前職からのお付き合いだった。康和地所を設立後の初のマンション「宮崎台」の素晴らしい商品企画を見て「この会社は大きくなる」と思ったものだ。

 その後、外断熱マンションを10件は見学している。「大井町」は、外断熱マンションという意味だけでなく、ランドプラン、ユニバーサルデザインの面でも極めてレベルの高いマンションだと今でも思っている。

 そんな立派な仕事をされてきた同社がどうして民事再生を申請しなければならないのか。数年前に同社の幹部が退社されて、販売力が弱くなったとは思っていたが…残念でならない。再生を望むのみだ。

(牧田 司 記者 10月31日)