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藤和不動産「BELISTA長後」 定借で坪107万円 1期40戸がほぼ完売


「BELISTA長後」完成予想図

 

マンション空白区も追い風 デザイン監修は坂倉建築研究所

 この時期、信じられないような売れ行きを見せているマンションを紹介しよう。藤和不動産が今月11日から分譲を開始した「BELISTA長後」だ。この週は、記録的な株価の暴落でマンション購入どころではなかったはずだが、このマンションは1期40戸にほとんど申込が入った。

 それはなぜか。

 物件は、小田急江ノ島線長後駅からバス約7分徒歩1分、神奈川県綾瀬市上土棚南一丁目に位置する7階建て全96戸の規模で、期間61年の定期借地権付きだ。専有面積は約70〜90平方b、価格は2198万〜3108万円(最多価格帯2300万円台)、坪単価は107万円。設計・監理はいすゞエステート、デザイン監修は坂倉建築研究所、施工は五洋建設。完成予定は平成21年2月下旬。

 つまり期間61年の定借物件で、最多価格帯が2300万円台と圧倒的に安かったからだ。この単価を聞いてある業界関係者が「えっ、単価が107万円。土地代がただでも出来ない」と絶句したように、信じられない安さだったのが人気の最大の要因だ。長後駅圏ではこの10年間、マンションの供給事例はない空白区であることも追い風となった。マンションなどとても購入できない≠ニ思っていた層が殺到したという図式だ。

 このあたりの経緯を、このマンションの販売を担当している同社首都圏事業本部第一事業部・森一晃氏が次のように語った。

 「敷地は、いすゞ自動車の社宅跡地。所有権だったら、坪単価は150万円ぐらいでしょうから、私も売る自信がない。

 物件は、南西向きで富士山も見えるし、敷地南側にはテニスコートと弓道場、隣接していすゞの独身寮が建ちます。駐車料金は平置きで月額1000円。周辺相場は5000〜6000円ですからかなり安い。住宅ローンも頭金ゼロで35年なら、もっとも高い住戸でも月額10万円以下。周辺の賃貸より安い。

 お客さまは、地元居住者で、年収400〜500万円台の30歳代のファミリーが中心で、いつかはマンション≠と考えていらっしゃるが、これまでマンションのモデルルームなど見たことがない方がほとんど」

 この説明が全てを物語っている。周辺の賃貸相場は坪6000円ぐらいだろうか。20坪で12万円だ。頭金なしで70平方bのマンションが賃貸より安いローン支払額で購入できるとなれば、みんな分譲を選ぶだろう。

 物件の基本性能、設備仕様などは、千葉などの坪単価100万円台前半の遠隔物件などと比べると数段優れている。ノンタッチキー、複層ガラス、プッシュ式排水栓付きオートバス、浴室乾燥機、スロップシンク、奥行き2メートルバルコニー、人工大理石の玄関なども揃っている。

 外観は、白と黒が基調で、有孔折板のマリオンが美しい。

 森氏によると、「お客さまは、どれもこれも初めて見られるようなものばかりで、感動されます」とのことだった。

 失礼ながら、デザイン監修にどうして坂倉建築研究所が起用されたのかを聞いたら、「おそらく単体なら無理だったでしょうが、他の施設と一体となった物件だったからでしょう」(森氏)との声が返ってきた。

 1期40戸のうち未契約は数えるほどで、「今週末には契約できるでしょう。あとは、地元以外からの集客は難しいでしょうから、歩どまりをどう上げるかでしょう。でも、ここが売れなきゃ、売れるマンションなどない」と、森氏は自信満々だった。

◇     ◆     ◇

 正直、見学前は気が進まなかった。「こんな遠隔地でバス便物件など売れるわけがない。せいぜい10戸か20戸ぐらいしか売れていないだろう」と考えたからだ。しかし、そもそも取材を申し込んだのは記者のほうで「売れているマンションはないか? 」と頼み込んで、同社広報のF女史から紹介されたのがこのマンションだった。

 モデルルームを見て、森氏の話を聞いて、工夫次第ではマンションが売れることに安堵した。もう一つ、同社の最近のマンションについて、F女史が「当社のマンションは、契約までの時間はかかっていますが、動かないということはありません。千葉ニュータウンや王子の物件も確実に契約が進んでいます」と語ったことにも心強く思った。


車寄せ

(牧田 司 記者 10月16日)