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 ニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生

ファンド、リートの破綻の次にくるもの

 

 ニューシティ・レジデンス投資法人(新井潤社長)は10月9日、東京地裁に民事再生手続きの申請を行い、受理されたと発表した。負債額は1123億円。

 同社は平成16年9月、米国の大手不動産会社シービー・リチャード・エリスのグループ会社であるシービー・リチャード・エリス・インベスターズなどによって設立された。同年12月、東証Jリートに上場。資産の運用をシービーアールイー・レジデンシャル・マネジメントに委託、賃貸住宅を投資対象にしてきた。年々、業績を伸ばし、平成20年2月期では、売上高62億円、経常利益24億円を計上していた。

 しかし、昨年のサブプライムローン問題をきっかけに取得予定資産の決済資金、借入金の返済金の調達が難しくなり今回の措置となった。

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 ファンド、リートの破綻はあるとは思っていたが、いよいよという感じだ。業界内では昨年来から「中堅のファンド、リートは立ち行かなくなる」といわれていた。金融機関の融資姿勢が変わったためで、例えて言えば、出しっぱなしだった水道の蛇口を閉められたような状態に陥っていた。

 巷間では分譲マンション不況が云々されているが、そもそも不動産市場の混乱の火元はファンド、リートにあった。ファンド、リートによる土地、物件取得合戦は数年前から展開されており、都内での取得が困難となると関西、名古屋、九州、仙台など地方へと広がっていった。

 そのほとんどは、ファンド、リート間の取引だから問題が顕在化することはなかったが、実体は転がし≠ノ近いものも少なくないはずだ。

 そのとばっちりを受けたのが分譲デベロッパーだった。マンション適地をファンド、リートに奪われ、やむなく遠隔物件や地方物件に手を出さざるを得なくなった。悲劇だったのは、そうしたデベロッパーは販売力もなく、商品企画力もないところが多かったということだ。大量供給による販売競争激化と、昨年来の市場環境の急変によって苦境に立たされているのが現在だ。

 記者は、ファンド、リート向けの賃貸住宅などは取材したことはないが、今後、行き場を失ったファンド、リート向けの賃貸仕様のマンションが一般分譲マンションとして大量に供給されるのではないかと見ている。そうなった場合の市場はどうなるのか。空恐ろしくなってくる。

(牧田 司 記者 10月10日)