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 レベル高い三井不RD「パークタワーグランスカイ」


「パークタワーグランスカイ」完成予想図

 

 三井不動産は9月30日、同社グループの三井不動産レジデンシャルが10月4日から分譲開始する「パークタワーグランスカイ」 (全736戸) の記者説明会を行った。

 物件は、JR大崎駅から徒歩6分、または五反田駅から徒歩6分、約60ha の街づくりが進められている大崎・五反田エリアの住宅・オフィス・商業施設からなる市街地再開発事業(街区名称“東京サザンガーデン”)内に位置する地上44階建ての規模。

 住みたい街、働きたい街、行ってみたい街≠ニいうコンセプトによって開発が進められている約29ヘクタールの「東五反田地区」の一角にあり、同社としては大崎・五反田エリアでは「ゲートシティ大崎」「オーバルコート大崎」に次ぐ第3弾の大規模再開発プロジェクトでもある。

 一般分譲は613戸で、1期(135戸)の専有面積は約43〜138平方b、価格は4,980万〜2億6,480万円、坪単価は385万円。設計監理は日本設計、施工は清水建設・奥村建設。竣工予定は平成21年4月。 

 目黒川を望む約3,400平方bの親水広場を整備したほか、ブルガリなど世界一流ブランドの店舗を手掛けるギャルド監修によるデザイン性の高い充実の共用空間を演出。このほかデザイン監修に光井純氏、建物デザイン監修にキース・クロラック氏、ランドスケープデザインに国塚栄喜氏などを起用。四季を感じる住環境を創出しているのが特徴。

 地上約152メートル屋上にはジャクジーを配したほか、読書やヨガなどを楽しめるデイベッドや芝生スペースなど、くつろぎの空間を設置している。

 モデルルームは北側住戸の小世帯用の70平方bタイプ、突き板仕様の108平方bタイプ、高級仕様の138平方bタイプの3つ。70平方bタイプでは、同社が「ミラノサローネ」に出展して好評を得た建具・家具が採用されている。


PREMIUMタイプのモデルルームリビング

◇   ◆   ◇

 今回の記者説明会で驚いたことが2つある。一つは、担当者による説明やシアターが普通のそれとはやや違っていたことだ。もう一つは、単価の安さだ。

 マンションのシアターでは、いつも大音響と美辞麗句でまくし立てるものに辟易している。何が言いたいのかさっぱり分からないもののほうが多い。供給サイド(製作者)の意図とユーザーのニーズが全くかみ合っていないものも少なくない。

 しかし、この物件は全体的に抑制されたトーンで、街づくりのコンセプトや現場担当者などの声が丁寧に紹介されていた。同社は20年以上も前からこのエリアで再開発を進めているというが、その思い入れがそうさせたのだろうと勝手に考えた。イメージで物件を売り込むより、このような手法のほうが説得力もあり好感が持てる。

 単価の安さに驚いたのは、隣接する野村不動産「プラウドタワー東五反田」と比較してあまりにも安かったからだ。

 「プラウドタワー東五反田」は当欄で改めて紹介するが、坪単価は約410万円だ。三井不動産レジデンシャルの物件はそれより安くなるはずがないと思っていた。

 単価差について三井不動産レジデンシャルの担当者は明言を避けたが、野村不動産の物件は分譲対象住戸が13階〜25階であり、「パークタワーグランスカイ」は2・3階から上となっているのも理由の一つのようだが、 もちろん、それだけが理由ではない。

 これはその答えになっていないが、単価についてひとつ面白いエピソードを紹介したい。記者はかつて三井不動産の幹部に「どうして三井さんはいつも価格を低めに設定するのか」と質問したことがある。返ってきた言葉は次の通りだった。

 「もちろん当社も利益を確保しなければならないが、購入者のためにも伸びしろ≠残すことも大事だと考えている」と。

 断っておくが、「プラウドタワー東五反田」が伸びしろのないマンションだと言っているのではない。双方とも素晴らしいマンションだ。これまで大崎・五反田周辺で分譲されたマンションの中ではトップクラスだろう。2つの物件が双璧といってよい。

 言いたいのは、価値のあるものはそれだけ価格が高くても売れるということであり、価格が安いからといってレベルが低いということでもないことだ。

 ただ、儲けを確保するために設備仕様その他グレードを下げたのではないかと思われる物件があまりにも多いという現実は否定できない。

 しかし、この問題を論じれば際限がない。マンションの価値と価格の相関関係についてはまた別の機会に論じたい。

(牧田 司 記者 9月30日)