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集合住宅の最高傑作の一つ 

鹿島建設「加賀レジデンス」が完成


完成した「加賀レジデンス」

 

 鹿島建設が建設中の「加賀レジデンス」が完成した。同社のご好意で完成した建物を案内していただいた。このマンションについては昨年5月、モデルルームを見学して次のような見出しで記事を書いた。

 「 これほど美しい<}ンション見たことない 鹿島建設『加賀レジデンス』」

 詳細は、この記事を読んでいただきたいが、今回、完成した建物を見て、改めて記事は間違っていなかったことを再確認した。同社の記念碑的マンションの一つだけでなく、現時点での集合住宅の最高傑作の一つであるのは間違いないだろう。そんなマンションだ。

 建物の外観は、縦ラインの戸境壁と床の白、それと淡いブルーのガラス手すりがリズミカルに映え、素晴らしい出来栄えであった。柱や梁など余分なものが全くない。室外機置き場はそのものをデザインとして取り込み、あるところでは見せ、あるところでは隠す工夫を凝らしている。雨樋は、一般的にはバルコニーの外側に設けるのが一般的だが、このマンションはバルコニーの床の勾配を内側に向けつけ、雨樋は外壁に取り付けて、極力外から見えないようにしている。

 建物南側の表情だけでなく、裏側の表情が美しいのもこのマンションの特徴だ。建物全体は白の縦ラインが強く映る一方で、別棟の駐車場は横の白いルーバーが施されており、このコントラストがまた美しい。駐車場全体をルーバーで覆うことなどまずないだろうし、ルーバーの足元には照明が取り付けられていた。さらに際が光る≠謔、、夜間になると建物のあちこちに光が当てられるように工夫もされていた。

 住戸デザイン、プランも素晴らしい。柱・梁がなく、床面から天井まで立ち上がったハイサッシ、出っ張りのない壁面、ほとんど白で統一された壁面・建具・ドアなど、スッキリした洗面室など見所がいっぱいだ。近くを流れる石神井川の桜の借景を取り込むようにプランニングしたともいう。

 これら外観も住戸プランも、特許を申請中という同社の「壁式免震構造・HIスマートウォール」の技術によるものだ。同社の「スーパーRCフレーム構法」の超高層マンションはたくさん見てきたが、普通のサラリーマンでも買える(ちょっと値が張るが)ファミリーマンションでこのような構法を採用したのが何より嬉しい。

 どうして同社だけがこのような素晴らしい技術を開発できるのか。他のゼネコンはバブル崩壊後に自社開発からほとんど撤退した。同社だけが開発部門を残し、その後も自社マンションの分譲を続けた。その差も大きいと記者は考えるが、どうだろうか。

 このマンションの案内役を買っていただいた同社開発事業本部の担当者は次のように語った。

 「意匠は、当社の『虎ノ門タワーレジデンス』を担当した者と同じで、このマンションでも一部採用した。虎ノ門は高額のタワーマンションだったが、ここでは質のいいファミリーマンションをつくって街づくりに貢献したかった。整形の敷地でもなかったが、それを逆手にとってつくりあげた。社内でも評価が高く、このマンションが評価軸となるようにしたい」

 この担当者は、「企画・設計・施工を一社で手懸けないとなかなかここまで出来ない。社内でお互いがやりたいことを気兼ねなく言えるから出来た」とも語った。

 これから最終分譲(13戸)が始まるが、最悪市況≠ネど全然関係ないだろう。ちなみに「虎ノ門タワーレジデンス」は、圧倒的な人気を呼んだ平成16年分譲の同社の記念碑的マンションの一つだ。

  
          エントランス                       既存樹のスダジイ、松、ツバキなど

  
         駐車場                         北側から見た建物      

 

(牧田 司 記者 9月16日)