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消費者金融と顧客の奪いあいを演じてどうする

良好な住宅を取得できるよう消費者教育も必要

 貸し渋り≠ノ該当するかどうか分からないが、最初に書いた消費者金融から借りている人、借りたことがある人は住宅ローンが借りられない*竭閧ノついて考えてみた。

 消費者金融については記者もよく分からないが、かつてのような高利貸し≠フイメージはない。メガバンクも出資しているようだから、社会的に認知されている貸金業のはずだ。消費者金融≠フ利用者が住宅ローンを借りられないのは、社会的差別ではないか。そう考えて、消費者金融業界の任意団体である「日本消費者金融機関」に聞いてみた。答えは次の通りだ。電話の窓口に出られた広報担当の方の声を要約する。

 「消費者金融から借りている人が住宅ローンを借りる場合、消費者金融からの借り入れを返済するようにいわれるということはよく耳にする。(消費者金融から借りている人に住宅ローンを融資しない)それは各銀行の対応次第ということだが、消費者金融から借りたことのある人はこれまでに2000万人、現在利用している人は1100万人というデータもある。サラリーマンの4人に1人の割合で借りている。年代は20歳代から50歳代。1人当たり100〜110万円というのが平均像だ。

 ここ2年間は、利用者は大きく減少している。貸金業法の改正により、住宅ローンとか、メーカーが直接融資する車のローンなどは除外されるが、2010年にはカードローン、信販など全てのノンバンクの貸付額は収入の3分の1以下という『総量規制』が始まる。そのため、みんなその規制を先取りした形で融資審査を厳しくしているからだ。いま消費者金融から借りられる人は10人のうち3人ぐらい。お金を持っている人でないと借りられないのが現状だ。

 もう一つ重要なことは、2009年までにあらゆる信用情報機関の情報を一元化して、情報を共有するということ。これまでは事故歴の情報は各機関で共有してきたが、来年からは全てオープンになる」

 この話を聞いて考えた。記者はこれまでマンションの敵は車≠セと考えてきた。マイカーを捨て、マイカーの保有コストをそのままマイホームに向ければ、もう1ランク上の住宅が取得できるし、地球環境にも貢献できるという意味だ。

 これからは、車もそうだが、消費者金融を含めた消費者与信産業ともマンション業界は戦わなくてはならないということだ。貸金業法の総量規制で収入の3分の1までに貸出額が抑えられるということは、それまでは可能ということだ。住宅ローンは除外されるとはいえ、住宅ローンとその他のローンを合わせ収入の5割がローンに振り向けられるわけはない。信用情報がオープンになるということは、それだけ住宅ローンの審査も厳しくなることを意味する。

 しかし、消費者金融と顧客の奪い合いを演じるというのも悲しい話だ。消費者が良好な住宅を取得できるよう、業界を上げて車を捨てる、消費者金融からはお金を借りない、クレジットでものを買わない′[蒙キャンペーンを張ろうではないか。マンションデベロッパーには、お互いが顧客を奪いあっても、顧客を育てるという視点が欠けているように思う。顧客をきちんと育てれば貸し渋り≠ネどの問題は起きないはずだ。

 それにしても総量規制≠ネる思い出すのも嫌になる言葉を聞いた。かつて、大蔵省の総量規制によって不動産業界は奈落の底に突き落とされた。消費者与信産業にも総量規制がかけられたらどうなるかを想像するだけで空恐ろしくなる。闇金融が跳梁跋扈するのは間違いない。

(牧田 司 記者 8月27日)