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 JIS規格不適合建築物の工事再開、大臣認定で適法化へ

 

 JIS規格不適合建築物の工事再開、建基法認定へ――国土交通省は8月26日、第2回「JIS規格不適合コンクリートを使用した建築物の対策技術検討委員会」(桝田佳寛委員長=宇都宮大学工学研究科地球環境デザイン学専攻教授)を開き、中間報告としてまとめて発表。国交省は、建物の構造耐力に関する安全性には問題がないことから、工事が中断しているものについては、個別に審査したうえで工事を再開し、建基法第37条に基づく大臣認定による適法化作業に取りかかるとした。

 同委員会は7月18日に設置して以来、これまで12回のワーキングループを開き、問題の建築物10件のサンプル調査、促進試験などを行った。

 その結果、溶融スラブ骨材が使用されたコンクリートにおけるポップアウト(PO)の発生状況は、最大で6個/u、平均で1〜2個/uであり、POの直径はおおむね40o以下、深さは5o以下であることが確認された。POの発生は、生石灰の水和反応によるもので、金属アルミニウムの反応に起因するものは見られなかったとしている。その一方で、極めて少数ながら直径が80oに及ぶ大きさのPOもあり、これに付着したタイルなどの外装材が剥落する可能性が否定できないとしている。

 POの発生原因については、溶融スラグ骨材に含有または混入した生石灰に起因するもとの考えられるが、その混入経路については特定できなかったとしている。

 POが建物の安全性に及ぼす影響については、POに起因したひび割れや膨張は認められず、部材の安全性や耐久性が著しく低下する可能性は少ないとしている。

 結論としては、現在発生しているPOの個数や規模、試験結果からして、POが建築物の安全性や耐久性に大きな支障を及ぼす可能性は少ないとしている。しかし、POが表層コンクリート仕上げ材などの剥落を引き起こす可能性があり、そのようなものについては補修工事を施すなど安全性を確保することも必要としている。

 国交省は、この中間報告を受け、自主的に工事を中断しているものについては、個別に審査した上で工事を再開できるようにするという。また、既に入居済みのマンションなどについては、個別に審査の上大臣認定による適法化措置を取るとしている。

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 今回の中間報告で、今回の問題は安全性についてはそれほど大きな問題でないことが分かった。ただ、違法なコンクリートが使用された≠ニいうレッテルを一度貼られたマンションが、消費者にどのように評価されるのか。問題が片付いたわけでもない。

 もう一つ注目したいのは、溶融スラグ骨材の積極利用についてだ。記者は素人だが、製造方法に工夫を加えれば全然問題は起きないのではないかということだ。

 桝田委員長は、生石灰は、溶融スラグ骨材を製造する過程で高炉の温度を高くなり過ぎないようにするために使用されているとし、しっかりした高炉なら生石灰は残留しないとも語った。生石灰を使用すること自体は違法でもないと語った。溶融スラグ骨材については、構造耐力上全く問題がなく、一般的なコンクリート以上の強度があるとも語った。

(牧田 司 記者 8月27日)