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最悪のマンション市場銀行の貸し渋り≠ェ追い討ち?

 

 このような記事は書きたくないのだが、やはり書かざるを得ない。首都圏のマンション市場が危機的な状況にあるということだ。あるマンションデベロッパーの社長は「ここ1〜2カ月の落ち込みがひどい。営業が必死になっても売れない。お客様が来ない」と嘆いた。

 不動産経済研究所の調査によれば、7月のマンション供給量は前年同月比44.5%減の約3.600戸で、売れ行きを計る月間契約率は同20.6ポイントマイナスの53.5%という。即日完売物件はわずか2物件の187戸(即日完売率5.3%)だ。1物件当たりの供給戸数は22.6戸だという。平均坪単価は237万円だ。

 売れ行きの悪いのは今に始まったことではないが、このデータを見たとき、記者は暗澹たる気持ちになった。

 バブル崩壊時もひどい状況ではあった。当時、記者は毎月、マンションと建売住宅の売れ行きを調査しており、突如としてマンションが売れなくなった平成2年9月の各マンションが軒並み契約ゼロだったのを思い出す。

 しかし、当時のマンション価格は都心部では坪単価が1000万円、2000万円しており、千葉、埼玉当たりの郊外部でも坪単価は250万円を突破していた。月間契約率が50%といっても、売れる物件はあった。もちろん中小規模物件は期分けなどしていなかった。 

 ところが最近は、契約率を引き上げるための期分けが当たり前になっている。それが1物件当たり供給戸数の少なさにつながっている。それでも契約率が50%台というのは、バブル崩壊時より悪い数値だ。坪単価237万円というのは、バブル期の郊外物件並みの単価だ。価格が高いというのが、売れない理由ではないはずだ。

 もちろん、バブル時と比較しても意味がないことだが、気になるのはマンションが売れないのは、ユーザーの買い意欲が減退しているということだけではなく銀行ローンの貸し渋りがひどくなっている≠ニいうデベロッパーの声だ。

 このような声は、昨年の半ばから聞かれた。そんな声を聞くにつれ、記者はマンションを購入できない層に売り込んでいるからだろう∞売れない劣悪な商品企画のマンションが悪い≠ニ思っていた。しかし、ここにきて、貸し渋り≠指摘するデベロッパーの悲鳴≠ェあちこちから聞こえるようになってきた。「以前なら借りられた人を100人とすれば、現在は50〜60人ぐらいではないか」とするショッキングな声もあるほどだ。

 そこで、本当に銀行の貸し渋りはあるのか、マンションデベロッパーはどう対処すればいいのかなどを考えてみた。

(続く)

(牧田 司 記者 8月25日)