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見積りは期間限定付き 資材価格は寿司ネタ並み時価

 

   物価上昇と景気後退が同時進行するスタグフレーションに突入

 お盆休みで田舎の伊勢に帰省しているとき、アーバンコーポレイション(広島市、房園博行社長)が8月13日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請したニュースが飛び込んできた。負債は約2558億円という。

 同社の経営危機については、春先から業界内に広がっていた。危ない≠ニ噂されていた数社のうちの1社で、この7月には、房園社長が金融機関へ担保提供していた同社株に対して担保権が実行されるなど信用力の低下が一挙に表面化していた。

 同社は、2008年3月期決算で売上高2436億円、経常利益616億円と過去最高の業績を挙げるなど急成長していた。本業のマンション分譲事業より不動産流動化事業が業績向上に寄与したのだが、破綻のきっかけとなったのも不動産流動化事業だった。金融機関が、サブプライムローン問題をきっかけに不動産流動化事業に極めてナーバスになっていた。

 問題なのは、このようなデベロッパーや建設業などの連鎖倒産が収まりそうにないことだ。事態は極めて深刻だ。田舎で住宅建設業を営む友人は、深刻な事態を次のように語った。

 友人は、建設資材の購入に際して見積りを取ったところ、何と見積り額は1週間の期間限定付きだったという。つまり、1週間後にはその額は保証できないというのだ。また、ある資材については、額が示されず時価≠ニあったという。寿司ネタの高級材とと同じで、いくらで買えるかそのときになってみないと分からないというのだ。住宅資材のカタログも頻繁に価格改定されているという。友人は怖くて商売が出来ない≠ニこぼしていた。

 友人の言葉を待つまでもなく、物価上昇と景気後退が同時進行するスタグフレーションの状態に完全に陥った。アメリカ経済だけでなく、オリンピック特需に沸いた中国のバブル崩壊も必至なだけに、世界的規模でスタグフレーションは広がる気配を見せている。処方箋は当分見つからないかもしれない。

(牧田 司 記者 8月19日)