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72年の超長期£闔リで価格も超々♀цタ

住友不動産「シティタワー品川」


完成した「シティタワー品川」

 

驚嘆の値づけ 単価は120万円 下層、高層との差もわずか

 住友不動産が近く完成販売する期間72年の定期借地権付き転貸マンション「シティタワー品川」を見学した。

 物件は、JR山手線品川駅から徒歩10分、港区港南四丁目に位置する43階建て全828戸(分譲は809戸)の規模。専有面積は約73〜114平方b、価格は2,247万〜4,347万円(最多価格帯3,200万円台)、坪単価120万円。設計・施工・監理は竹中工務店。 建物は完成済み。

 何から何まで、驚愕のマンションだ。土砂降り市場のカンフル剤になりそうもないのは残念だが、厳しい暑さが続く真夏にこれ以上ないホットな話題を提供してくれそうだ。

 まず価格。東京都の「港南4丁目第3団地建替えプロジェクト」で、コンペの応募条件として、@定期借地権を活用することAファミリー世帯の都心居住の推進、少子・高齢化対策を図ることB周辺地域に必要な生活利便施設の整備を図る――ことなどが盛り込まれていた。

 公募が行われた平成16年当時は、港区で大量のマンションが供給されている頃で、分譲価格が急騰しだした頃だった。当時、近隣の分譲マンションとの価格比較から、業界関係者の間では同社の定借マンションは坪140万円ぐらいだろうと推測されていた。

 ところが、その後、都心部のマンション価格は急騰。現在はやや下落し、調整局面を迎えているが、それでも所有権にすれば坪350〜400万円と思われる。

 それが、120万円なのだから超々割安単価だ。一般的に、期間70年の超長期定期借地権付きマンションの価格は、所有権の7掛けと言われているので、仮に所有権で350万円としても、定借だと245万円の計算になる。それよりも120万円も安いことになる。近隣の中古マンションの半値以下だ。

 これほど安くなったのは、東京都の意向であるのは間違いない。公募条件にも価格を低く抑えることが盛り込まれていたからだ。

小・中学校が隣接 立地・基本性能は水準以上


最上階北側住戸からの眺望。芝浦アイランドやレインボーブリッジも見える(民間億ションなら坪600万円か)

 しかし、立地、基本性能などは水準以上であるのは間違いない。立地条件は、小・中学校、公園が隣接、その他の公共施設も整っている、子育てには最高の立地だろう。敷地内にはスーパーマーケットのほか、医療機関、保育施設なども揃っている。

 物件の設備仕様は、確かに高くない。都心の高額マンションとは比較にならず、一般的な郊外マンションと同レベルか。それでも竹中施工だし、リビング・ダイニングの天井高は2480ミリ確保されているし、二重床・二重天井、SI対応など基本性能は水準以上だろう。コンシェルジュサービスも受けられる。

 驚くべきことはまだある。

 プランだ。828戸もありながら20プランしかなく、下層から上層まで1スパン同じ間取りの経済プランだ。

 値づけも、かつての公的機関マンションと同じだ。例えば24.22坪の3階フロアの住戸は2867万円(坪118万円)で、43階の最上階は3329万円(坪137万円)で、わずか462万円の差しかない。1フロアに換算すると約12万円だ。民間の億仕様なら最上階住戸は坪600万円はするはずだ。

 パンフレットも、かつての東京都などが行っていた分譲マンションと同レベルの簡素なもの。表紙は白紙で、「登録にあたっての注意事項」が記載されており、1〜2ページには、プロジェクトのコンセプト(定借を活用したファミリー世帯向けマンション)とか「自ら居住」を求めている申込条件が記載されている。カラーページといえば、完成図と、各フロアからの眺望写真、屋内写真など数ページしかない。

 期分けはなしで、申込は8月19日〜25日の1週間、現地では申込を受け付けず、全て郵送による。抽選は9月5日。

5年間の買い戻し特約付きでも倍率は20倍超?

 興味深いのはこの超々割安マンションにどれほどの人気が集まるかだ。 どうしてそんなに安く売るのか≠ニいう批判はさておく。記者は、個人的には安価で良質なマンションが供給されることに異存はない。結構なことだと考えるが、あまりにも市場価格とかけ離れているとは考える。(かつて、東京都は多摩ニュータウンの売れ残りマンションを市価の7割引で分譲した前例がある)

 比較する事例が最近はないが、かつてバブル発生時に分譲された民活マンション第一号の「西戸山タワーホウムズ」は、確か6万人の来場者があった。モデルルームを見学し、購入を申込むまで4時間ぐらいかかったと記者は記憶している。

 今回は、戸数も多く、投資や賃貸目的の購入を排除するため「5年間の買い戻し特約」が付いており、買い替え停止条件もついていないので、それほどにはいかないにしろ、3〜4万人に上るのではと関係者の間では見られている。現地には、見学者が並ぶのを想定した誘導柵も設けられていた。

 そんなこんなを考えると、競争倍率は平均で20倍を突破するかもしれない。申込者の居住地も23区どころか、首都圏全域に達するのではないだろうか。 考えて申し込む≠謔閾申し込んでから考える$lのほうが多数派を占めそうだ。


見学者が殺到することを想定した見学者誘導柵

(牧田 司 記者 8月1日)