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正業を営むマンションデベロッパーには救いの手を

最近のデベロッパー、建設業の破綻に思う

 

 中堅のデベロッパー、建設会社の破綻が相次いでいる。一昨日はマツヤハウジングの、昨日はハウジング大興と多田建設の民事再生申請のニュースを聞いた。

 このところの不動産・建設業界に対する金融機関の与信方針の厳しさから、中堅デベロッパーはどこが破綻してもおかしくないと思っていただけに、破綻そのものには驚かない。しかし、マツヤハウジングの破綻は残念でならない。

 民事再生申請を知ったのは一昨日29日の夕方だった。ちょうどその日の午後、同社のある企画担当の方からメールと電話をいただいた。メールには次のようにあった。

 「本日は以前ご取材頂きました花粉症対策マンションについて特許を取得致しましたので牧田様に一番はじめにお知らせいたします。申請から3年ほどかかってしまいましたがやっとの事で取得となりました。また牧田様とお会いできることを楽しみにしております。8月の初めには陶芸などをコンセプトにしたマンションをアクティブ・シニア・プロジェクト3弾として発表する予定です」

 その直後に同社は民事再生手続きの申請をしたことになる。

 翌日、その方からは次のようなメールが届いた。

 「昨日はリリース発信した日に民事再生となってしまい誠に申し訳ございませんでした。…これも今後の商品企画への勉強と受け止めております。この様な厳しい状況は人生において非常に勉強となる為、会社の最後まで挑戦したいと思っております。不動産の怖さ、嬉しさ、楽しさを知った企画マンとして今後も頑張っていきたいと思っております」

 同社の経営破綻の詳細は分からないが、マンション分譲事業の不振が主因ではなく、いわゆる不動産流動化事業が行き詰まったのが主因ではないだろうか。

 同社の最近のマンション商品企画には、注目すべきものがあった。花粉症対策マンションもそうだし、ペット共生マンションやゴルフパター練習場付きのアクティブ・シニア・プロジェクトがそうだった。出窓付きビューバスの提案もあった。

 同社がこのように商品企画に力を入れていけば、間違いなく伸びると思った。あとは立地とコンセプト・ターゲットなどのミスマッチを何とかすればと思っていた矢先の破綻だった。

 同社が、本業であるマンション事業に事業を絞り込み再生することを願うのみだ。

 それにしても、最近の破綻の連鎖は、あのバブル崩壊と状況が酷似している。あの時は、総量規制により垂れ流しだった資金が一挙に止められた。今回も同様だ。バブルを閉じるのと同じようにファンド向け融資は完全にストップした。いわゆる転がし≠ヘ日常茶飯化していた。行き場を失った汚濁まみれの水は腐るしかない。

 せめて、粛々と正業のマンション事業を行っているデベロッパーだけには、金融機関も救いの手を差し伸べて欲しい。

(牧田 司 記者 7月31日)