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国交省のマンション政策部会に期待

マンション管理の適正化、建て替え促進策を検討


左から岩沙、越澤、井手、櫻井各委員

 

 国土交通省は7月28日、第1回「社会資本整備審議会住宅宅地分科会 マンション政策部会」(部会長:越澤明北海道大学大学院教授)を開いた。

 同部会は、社会資本整備審議会(張富士夫会長)の付託を受けて開かれるもので、分譲マンションストック 500 万戸時代に対応したマンション政策のあり方を検討する。今後、来年2月までに5〜6回の会合を開き、答申または中間とりまとめとして発表し、来年度の施策に反映させる。

 分譲マンションストックは平成19年度末で約528万戸、約1.300万人が居住すると推計されており、都市居住形態としてとして定着し、今後も増えつづけるとされている。しかし、その一方で区分所有者の共同利用に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなどが指摘されている。さらに、老朽化、居住者の高齢化、建て替えの合意形成の難しさなど、良好なストック形成のうえで深刻な問題も引き起こしている。

 同部会は、このような問題に対して根本的に見直すものとして位置づけられており、マンション管理の適正化を推進するための仕組み、耐震性や改修、建て替えを促進するための仕組みなどを取りまとめる。

 委員は、越澤氏を始め、浅見泰司・東大空間情報科学研究センター教授、井手多加子・成蹊大教授、岩沙弘道・三井不動産社長、櫻井敬子・学習院大学教授、西谷剛・國學院大學法科大学院教授の6氏。このほか臨時委員に新納清栄・高層住宅管理業協会副理事長、松井邦彦・マンション管理センター専務理事、福井秀夫・政策研究大学院教授ら8氏、専門委員として穐山精吾・NPO法人全国マンション管理組合連合会会長、伊藤茂忠・日本マンション管理士会連合会会長の2氏が参加している。

◇   ◆   ◇

 分譲マンションについては、老朽化にともなう安全性の問題を始め、居住者の高齢化、賃貸化、管理組合の活動停滞、修繕積立金不足など問題が山積している。このような問題について対応策を検討する部会を産・官・学が連携して検討するというのは、遅きに失する感がしないでもないが、結構なことだ。

 特に部会に期待したいのは、既存マンションの資産価値を計る分かりやすいモノサシを示すことだ。どのような管理がマンションの資産としての価値を維持し向上させるのか、行政はそのための支援策をどのような形で示すのか。自ら住むマンションの資産性を分かりやすい形で示してもらえれば、区分所有者ももっと積極的に組合活動に参加するのではないか。

 管理組合活動が停滞しているのは、最近はやや異なってはいるが、これまでマンションデベロッパーも管理会社も積極的な活動支援を行ってこなかったからだし、行政も基本的にノータッチの姿勢をとってきたからだ。マンション管理士制度の積極的な活用を図れば、展望が開けてくると確信する。

(牧田 司 記者 7月28日)