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「構造安全性は問題なし」六会コンクリ問題で桝田委員長

国交省「JIS規格不適合コンクリートを使用した建築物の対策技術検討委員会」

 構造安全性については問題なし――国土交通省が7月18日設置した「JIS規格不適合コンクリートを使用した建築物の対策技術検討委員会」の桝田佳寛委員長(宇都宮大学工学研究科地球環境デザイン学専攻教授)は、委員会後の会見でこう語った。

 同委員会は、六会コンクリート(株)が出荷したレディーミクストコンクリートに不適切な溶融スラグ骨材を混入したコンクリートの耐久性、構造等安全性、補修方法などについて技術的検討を行うために設置したもので、桝田委員長と、阿部道彦・工学院大学工学部教授、勅使河原正臣・名古屋大学大学院教授、野口貴文・東京大学大学院准教授の3氏が委員で、このほか建築材料、建築施工、構造分野の専門家と行政実務者などで構成されている。2カ月をメドに当面の安全性、補修方法などを取りまとめる予定。

 桝田委員長は、「ポップアウト現象(コンクリートの表面部分が、コンクリート内部の膨張圧により部分的に飛び出し、剥がれてくる現象)は、向こう3年ぐらいで終息すると思われるが、10年後に出ないとは確定的に言えない。

 専門家の立場としては、長期的に建物の構造、安全性を脅かすことはないといえる。ただ、ポップアウト現象が止まらないとなれば、マンションなどの入居者の不安はぬぐえない」と語った。

 また、補修方法については、「ポップアウト現象は、基本的には溶融スラグ骨材に混入した石灰が水と反応して起きる現象なので、コンクリート内部ではコンクリートの圧力もあるので、コンクリートがはがれることはない。一度化学反応を起こしてしまえば、長期にわたって膨張するということはない。表層部については、厚めの外装材を張るなどの方法があるが、問題の部位やばらつきもあるので現段階では何ともいえない」とした。

 会見に同席した同省・井上俊之住宅局建築指導課長は、「現段階で対象建築物の数は正確に把握していないが、マンションや事務所、一戸建てなどの建築物が百数十件で、全体では300件以上あると聞いている。

 消費者の不安をどう取り除くのかについては、商品価値の問題に行政は立ち入れないので、デベロッパーがそれぞれ対応することになるだろう。ただ、ぽろぽろとコンクリートが剥がれ落ちては商品価値としてはどうかと思う。材料についてはクロ(違反)だが、検査の結果、シロ(建築基準法上問題にならない)可能性もある」と語った。

◇   ◆   ◇

 今回の記者会見は、一般紙向けに行われたものだが、同省広報担当者に事情を説明し、記者クラブの幹事会社の了解も得られたので会見場に同席させていただいた。まず、関係者の方々に感謝申し上げる。今回のような大きな問題については、同省も記者クラブも柔軟な対応をお願いしたい。質問したいこともたくさんあったが、さすがに遠慮して黙って聞いていた。

 六会コンクリート問題については、問題が発覚して、業界に激震が走った。 マンションの販売中断も相次いでいる。記者もパニック状態に陥った。

 本日の桝田委員長の話から、まずは耐震性に問題がないことを聞き安堵した。コンクリート外壁がはがれることについては、専門家でないので何ともいえないが、修繕方法はあるはずだ。

 ただ、それがはっきりしない間は、販売を中断せざるを得ないだろうが、購入者にきちんと対処方法を明示して販売を再開する方法もあるのではないか。

(牧田 司 記者 7月18日)