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 自動的に閉まる引き戸 マンションに普及を


大建工業の「ラクラクローズ」(ニュースリリースから)

 

現状は戸建て向けがほとんどだが、マンションこそ最適 

 マンションのドアが引き戸というのは当たり前になってきた。一般的な内開き・外開きドアと比べデッドスペースを取らないし、開閉が楽だから限られたスペースのマンションには最適だ。最近はユニバーサルデザインの観点から全てのドアを引き戸にするデベロッパーも少なくない。

 ところが、引き戸、とりわけ上吊りタイプの引き戸には難点がある。開閉は楽なのだが、閉めた場合の衝撃音が大きく、跳ね返りもある。デベロッパーによっては、衝撃音を和らげるストッパー機能付きのドアを採用しているところもあるが、まだまだ少数で、衝撃音を完全になくすまでは至っていない。

 記者は、キッチンの引出しでは当たり前となっている、いわゆるブルモーション°@能付きの引き戸が開発されないものかとずっと以前から考えていた。

 ところが、メーカー各社は既にキッチン収納と同じブルモーション機能付きの引き戸を開発していることを昨年知った。昨秋には、どこのメーカーか分からなかったが、マンションのモデルルームで体験している。

 そこで、主なメーカーにアンケート形式で自動的に閉まる機能付き引き戸について答えてもらった。以下がその回答だ。

 ◇   ◆   ◇

 松下電工は2005年11月に「ソフトクローズ」として、大建工業は2007年6月に「ラクラクローズ」として、永大産業は今年4月に「ファインモーション」として、それぞれ自動的に閉まる機能付き引き戸を発売している。

 発売以来、松下は約100万個を、大建は年間約1万個を、永大は月間約1万5000個を販売している。各社とも予想を上回る販売戸数と捉えているようだ。

 ただ、3社ともマンションなどの集合住宅は少なく、ほとんどが戸建てだ。「戸建て住宅で80〜90%」(松下)、「 特注サイズ・特注デザインが多くなるため対応できないケースや、コスト面を考慮し、マンション用のドアにはラクラクローズ機能をラインナップしていない」(大建) 「当社営業活動のウェイトが戸建てにあるため 90 %が戸建て」(永大) と回答を寄せている。

 このため、全体の住宅の引き戸に対する普及率は微々たるもののようで、大建は「引戸全体におけるラクラクローズ機能付引戸の採用率は約5%程度」としている。

 今後の展開については、各社とも積極的で、「 商品単体での目標数はないが、シリーズ全体数として評価できる。商品のわかりやすさと価格で差別化を図る 」(松下)「 カタログによる認知度アップ。各種展示会にて現物を展示し、その動作性を実際に体感していただくことで、販売につなげていきたい」(大建) 「集合住宅への販促、すべての引き戸バリエーションに対応していく」(永大) としている。

 マンションにはほとんど普及していない今なら、他社との差別化につながるのは間違いない。メーカー、デベロッパーのマンションへの普及へ向けた活動に期待したい。名称も各社で話し合って統一すれば、飛躍的に普及速度は高まると思うのだが…。

 永大産業はホームページ http://www.eidai.com/product/interior/finemotion/index.html
で、動画付きの引き戸を紹介している。

(牧田 司 記者 6月30日)