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 日本ハウズ 買収防衛策を可決 原弘産はTOB断念


日本ハウズイングの株主会場

 

「社員株主ばかり。一般株主がいない」原將昭社長

 日本ハウズイングの買収防衛策を可決、原弘産はTOBを断念――日本ハウズイングの定時株主総会が6月27日、新宿・東京厚生年金会館で開かれ、同社提案の買収防衛策に基づく原弘産グループに対する対抗措置の発動を同社取締役会に委任する件(5号議案)が賛成54.7%で可決され、原弘産など株主提案の買収防衛策に基づく原弘産らに対する対抗措置不発動の件(6号議案)と、取締役2名選任の件(7号議案)が反対54.8%でそれぞれ否決された。

 これによって原弘産が提案していた業務提携・TOB問題は、一応の決着がついた。総会後、原弘産・原將昭社長は「負けた。TOBはやらない。株は長期にわたって持ちつづける。納得するまで話し合いは継続する。企業価値を向上させる働きかけを行っていく」と語った。

 敗因として「日本ハウズイングさんは一般株主≠ェいない。ほとんどが社員株主だった」ことを挙げ、悔しさをにじませた。

 総会は午前10から行われ、午後2時10分ごろに票の集計のため休憩に入り、3時から引き続き行われた。終了したのは3時22分だった。約5時間20分の長さだった。小佐野台社長は、報道陣を避けるように会場を後にした。

 ある株主(75)は、「私は大企業にいたことがあるが、レベルが低いね。日本ハウズイングの社長は、弁護士のアドバイスがないと答えられないし、出席者もほとんどが社員株主。マンション管理についてリスク管理について質問したが、本質的な論議にはならなかった。どちらが勝つかは、どっちでもよかった」と語った。

 別の株主は、「日本ハウズイングは丁寧に対応していた。原弘産側はためにする質問≠ェ多かった。時間がかかりすぎ」と話した。

       
TOBに失敗して会場を後にする原弘産・原將昭社長           日本ハウズイング本社ビル         

◇   ◆   ◇

 記者は、この問題が浮上した2月からずっと注視してきた。一般紙のような企業買収・防衛のあり方という視点より、マンション管理業の事業はどうあるべきかという視点からであった。

 原弘産の提案にはやや無理があり、日本ハウズイングが勝つと予想していた。ところが、いわば身内の大株主であるカテリーナ・イノウエ社が原弘産側についたことから形勢が逆転したと感じていた。原弘産の提案は、一般投資家に対する一定の説得力もあったからだ。

 ところが、純然たる一般株主は少なく、一般株主の中には元社員、元役員、管理人など、同社関係者が400〜500人いるといわれており、もともとが勝ち目のない戦いだったのかもしれない。

 しかし、原弘産の提案は、分譲マンションの専有部分には触れない≠ニいう管理業界の不文律に対して一石を投じたという意味で評価したい。

(牧田 司 記者 6月27日)