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 もの言う団体へ∞住生活総合サービス業

高層住宅管理業協会が「中期事業計画」


多くの報道陣を集めて開いた「中期事業計画」発表会(記者団の質問に答える黒住理事長)

 

30周年を節目に名称変更も検討

 高層住宅管理業協会(黒住昌昭理事長)は6月25日、平成20年度を初年度とする「中期事業計画」をまとめ発表した。

 事業計画は、平成17年度を初年度とする「中期運営基本戦略」が完了したのを受けて策定したもので、少子高齢化や建物の老朽化・賃貸化など住生活の質の向上に貢献することによってマンション管理業の地位の向上と社会的認知度の向上を目指す「管理業のステータス向上時代」と位置づけ、「住生活総合サービス業の確立」を主眼としている。

 事業計画は、@「住まい方」を提案するサービス業としてのあり方提案A新たなマンション管理システムの検討Bマンション管理の適正化および品質の確保C管理業界の地位の向上と社会的認知度の向上――の4テーマで構成。

 具体的には、高齢化社会に対応した住サービスの提供、会員間の業務提携・情報共有・災害時支援などの協業化、サービス業としての管理会社の業務・役割の明確化などを掲げている。

 また、平成21年度秋に同協会が設立30周年を迎えることから、住生活総合サービス業としてふさわしい協会の名称変更も検討していくとしている。

◇   ◆   ◇

 同協会を取材するのは数年ぶりだ。同協会は地味な団体で、マンションは管理を買え≠ニ言い古された言葉がある割には、同協会も積極的に外に向ってものを言ってこなかったし、マスコミも取材対象として重きをおいてこなかったようだ。

 今回の「中期事業計画」の発表については、多くの報道陣を集め黒住理事長など役員との質疑応答にも時間を割いたのも、ものを言う団体≠ノ転換しようという姿勢がうかがわれる。

 発表の時期が、日本ハウズイングに対する原弘産のTOB問題と重なったのはたまたまだろうが、管理業のあり方を改めて問い直すいい機会になった。TOB問題については、是非はともかく、原弘産が業界のあり方に一石を投じたことだけは言える。

 黒住理事長は、記者の質問に対して「専有部分に対してはアンタッチャブルな部分がある」と答え、そのあとですぐに取り消したが、管理会社は区分所有者の専有部分についてはタッチしないという不文律があったような気がしてならない。

 住生活総合サービス業を目指すならば、売買仲介、賃貸管理に管理会社がとのように関わっていくのか、避けては通れない問題だろうし、大きなビジネスの源泉に直接関わっているのが管理業者だ。より踏み込んだ事業計画の実現を期待したい。

 もう一つ、名称変更についても大賛成だ。同協会は、業界誌紙には「管理協」として知られているが、インターネットで「マンション 管理」あるいは「管理協」として検索してもトップではヒットしない。同協会のホームページも、マンション入居者向けの情報は少ない。

 もっと一般にもなじみやすくて、管理組合などが気軽に相談できる団体にして欲しい。「マンション管理センター」などと連携すれば大きな仕事ができるのではないか。

 話は余談だが、この業界には「全国宅地建物取引業協会連合会」(全宅連)という長ったらしくていかめしい名称の社団法人もあるし、「不動産流通近代化センター」という、この業界が前近代的であるかのような印象を与える財団法人もある。以前は「タクシー近代化センター」があったが、この団体はとっくの昔に名称変更している。

(牧田 司 記者 6月26日)