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ポラス決算発表 増収減益 今期戸建て2千棟目標


大久保氏(左)と中内氏

 

 ポラスグループは6月19日、決算発表会&記者懇親会を開いた。

 平成20年度3月期連結決算は、売上高1160億円(前期比△3.2%)、営業利益62億円(同▼10.5%)、経常利益55億円(同▼17.7%)、当期純利益17億円(同△65.9%)と増収減益となった。

 グループ売上棟・戸数では、分譲戸建てが1713棟(同▼1.3%)、戸建て注文住宅が518棟(同▼3.0%)、賃貸住宅が24棟・282戸(同△67.8%)、分譲マンションが67戸(同△21.8%)となり、仲介部門は仲介手数料26億円(同△4.8%)となった。

 今年度業績予想では売上高1278億円(同△10.1%)、経常利益82億円(同△47.6%)を見込んでいる。分譲戸建ての売上目標は2000棟。(△は増、▼は減)

 大久保浩成代表取締役は、「市況は厳しいが、本社機能のある越谷とその周辺部を核に、東側の船橋を中心とする千葉方面、さいたま市を中心とする西側の三角地点での営業を強化して、分譲戸建ては今年度2000 戸(前年度比16.7%増)を目指す。6つの事業部・事業会社と22店舗ある仲介店のネットワークを生かせば、1カ月平均24棟の上積みは可能。利根川(遠隔地)を越えることはないと思う」などと語った。

 また、戸建て事業を手がけるポラテック・中内晃次郎社長は、「シェアを考えればまだ伸ばせる。先導的モデル事業にも積極的に挑戦したい」などと語った。戸建て事業の今年度の売上目標は前年度比33.5%増の757戸を掲げている。

◇   ◆   ◇

 同社の決算が悪くないだろうということは、日ごろの取材で予想はしていたが、正直、これほどいいとは思いもしなかった。中堅のマンション・戸建てデベロッパーの決算が軒並み散々だったのとは対照的だ。

 記者は、注文住宅部門はよく分からないが、戸建ては同じような中堅デベロッパーと比べ商品企画が図抜けていた。大久保社長は「うちの戸建ては他社より500万円高い」と語ったが、価格に見合う商品企画であったのは間違いない。易きに流れず、もの造りに徹したのがユーザーの評価を得たのだろう。低レベルの商品と競争しても意味がない。

 分譲マンションは減る一方で、同社はこの2年間でわずか123戸しか売上がない。しかし、これも正解だ。同業他社はここ数年、戸建ての落ち込みをカバーしようとマンションにシフトした。しかし、ノウハウを持たず、用地取得力で劣ることから郊外・遠隔化を余儀なくされ、業績悪化を招いた。

 同社はマンションのノウハウがないわけではないが、同業の大手と比べればブランド力で劣るのは明らかだ。もっとも売れ行きが悪いといわれる東武伊勢崎線で、競争を回避したのは賢明な選択だった。

 今年度の売上計画は、逆風に真っ向から立ち向かう姿勢を示したがものだが、足元を掘れ、そこに泉沸く≠ニいう原点に立ち返れば達成できない目標ではないだろう。

(牧田 司 記者 6月20日)