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広がる建築物の「絶対高さ規制」  @

目黒区が11月に都市計画決定へ

 

 高度地区制度を用いて建築物の絶対高さを制限する自治体が増えている。建築基準法の改正によって高層建築物が建築可能となり、それに伴い近隣紛争が増加傾向にあるのが背景にあり、自治体としては未然に紛争を防ぎたいという狙いがある。その一方で、絶対高さ制限は、土地の有効利用を阻害し、良好な都市景観を形成することにもならないとする意見が多い。絶対高さ規制について、何回かにわたって触れてみたい。

全国で118 首都圏では30の自治体が導入

 絶対高さ制限について研究している東京工業大学大学院社会理工学研究科・財団法人土地総合研究所研究員・大澤昭彦氏の調査によると、絶対高さ制限を高度地区で定めている自治体は、2008年3月現在で118あるという。東京都でも 2004年に文京区、目黒区、世田谷区、三鷹市など11区市が導入したのを始め、現在までに首都圏では東京都16区市、神奈川県11市町、埼玉県3市の合計30自治体が導入している。

 このほか、目黒区は前回に規制をかけた住居系用途地域以外の区内全体に高さ制限をかける都市計画を今年11月に決定する予定だ。また、渋谷区も全域を対象にした高さ制限を年度末までに都市計画決定することになっている。

 目黒区が5月30日に公表した「建築物の絶対高さ制限・敷地面積の最低限度の都市計画変更二次素案」によると、一次素案から変更したものは、@恵比寿ガーデンプレイスの区域を規制対象外とするA商業地域における緩和係数を最大1.5倍とした(一次案では最大2.0倍)B既存の建築物を建て替える際に絶対高さ制限の適用除外となる要件の明確化C大規模敷地における建築物の絶対高さ制限緩和を受ける要件の明確化――など。

 商業地の絶対高さ制限の緩和係数を一次素案の最大2.0から最大1.5倍としたのは、もともと他の用途地域より高さ制限の規制値が高くなっており、高倍率の緩和による周辺環境や景観に与える影響や、一次素案に対する区民の意見を総合的に判断したためという。この素案どおりに都市計画決定されれば、商業地での絶対高さは最大90メートルとなる。

 ただし、法定再開発事業などは、また別途に都市計画決定されることになるので、90メートル以上の建築物が建てられないということではない。現在、目黒区内には恵比寿ガーデンプレイスや再開発ビルなど約10棟の高さ90メートルを超える建築物がある。

(牧田 司 記者 6月3日)