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原弘産&日本ハウズTOB問題 新たな展開へ

キャスティング・ヴォート握るカテリーナ・イノウエ社

 原弘産(原將昭社長)が日本ハウズイング(小佐野台社長)に対してTOBによる経営統合を提案している問題は、日本ハウズイング株主の3位に当たる10.58%の株式を所有するカテリーナ・イノウエ社(山口哲央社長)が5月27日付で両社に対して公開質問状を送付したことで新たな展開を見せてきた。日本ハウズイングの株主総会は6月27日に予定されており、回答の期限は5月30日としている。

 イノウエ社は、日本ハウズイングの創業者の1人である故井上博敬氏の資産管理会社で、公開質問状は「株主総会を民主的で、より建設的な意味のあるものにしていただき、どちらの提案が日本ハウズインクの企業価値を高めることになるのか株主として判断するために」に提出したという。

 日本ハウズイングに対しては、同社が今回の問題で示している見解などについて「価値増大につながる力強いビジネスプランであるとは感じられない」とし、「企業価値向上策、株価向上策の提示」を求め、「原弘産に対しては、競合相手であることを理由に株主名簿閲覧謄写請求を拒むのではなく、請求に応じた上で正々堂々とプロキシーファイト(委任状争奪戦)をしていただきたい」としている。また、メインバンクの三菱UFJ信託銀行との関係についても質している。

 原弘産に対しては、日本ハウズイングが問題としている@不動産の短期売買の目的・方針A下関の有料老人ホーム排除命令に対する見解B業績の下方修正に対する見解C合人社と共同買付者であるというのは事実か――などを聞いている。

 原弘産が2月18日に発表したTOBによる経営統合提案に対して、日本ハウズイングは5月13日に反対を表明。6月27日の日本ハウズの株主総会では、買収防衛策の発動を決議すると発表している。賛否をめぐりイノウエ社がキャスティング・ヴォートを握ることになりそうだ。

 3月31日現在の日本ハウズイングの大株主の持ち株比率は次の通り。( )はどちらの側かを示す。

1位 ランドマーク         12.55 %(原弘産)
2位 小佐野投資         11.31 %(日本ハウズ)
3位  カテリーナ・イノウエ    10.58 %( ? )
4位 原弘産            10.09 %(原弘産)
5位  カテリーナ・ファイナンス  7.55 %(日本ハウズ)
6位 井上投資           6.13 %(原弘産)
7位 三菱UFJ信託銀行     4.99 %(日本ハウズ)
8位 小佐野台           3.03 %(日本ハウズ)
―― 同社役員           7.84 %(日本ハウズ)

(牧田 司 記者 5月30日)