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フージャース「FESTA TOWN 」 女性スタッフの提案人気


「FESTA TOWN」完成予想図

 

家族の対話を弾ませ、客を招きたくなるマルチルーム

 マンションは企画次第で売れる≠ニいう典型的な物件を紹介しよう。フージャースコーポレーションが分譲している「FESTA TOWN」だ。

 東武野田線岩槻駅から徒歩8分、埼玉県さいたま市岩槻区西町2丁目に位置する全体敷地面積約41,000平方b、計画戸数約500戸の規模。現在分譲中の物件は15階建て343戸で、1期1次(22戸)の専有面積は約67 〜111平方b、価格は2198万〜4498万円(最多価格帯2800万円台)。坪単価は約130万円。完成予定は2008年11月上旬。施工は東海興業。

 現地は、駅前ロータリーの整備も含め区画整理事業が進行中のエリアの一角だ。現在は、駅まで道路を迂回しなければならないが、区画整理が完了すれば新たに改札口が設けられる可能性もある。そうなれば駅に3分となる。また、敷地の一角には「ヤオコー」を中心とした大型ショッピングモールが今秋に完成する。このほか、保育園・幼稚園、小・中学校、区の施設、病院などの生活施設も徒歩圏に揃っている。埼玉高速鉄道の岩槻までの延伸計画もある。

 同社は、今年に入って分譲を本格化させており、これまでに優先分譲95戸を完売しており、3月から分譲開始した1期1次もほぼ完売している。来場者もコンスタントに土・日曜日に20件はあるというから、順調に売れているということができる。建物完成の今年年末までに完売するかどうかは戸数が多いので微妙だが、販売担当者は十分手応えを感じているようだった。

 記者は、この販売状況を聞いて、正直ビックリした。ここまで売れているとは思えなかったからだ。

 岩槻駅圏では2年前、ヒューマンランドが「ヒューマンスクエア岩槻」(117戸、坪単価127万円)を分譲したとき、モデルルームオープン時に取材している。殺風景な現地周辺をみて企画はいいが、これは売るのに大変だろう≠ニ思った。ところが、同社は約1年で完売してしまった。駅近で区画整理が進行しており、プランもよかったのが人気の要因だと考えた。このほかには岩槻駅圏ではほとんど供給事例がなく空白区≠ノ近いエリアだ。

 フージャースの物件が売れているのも、同じ理由だと思われるが、同社はヒューマンランドとはまた異なったユニークな生活提案を行っているのが人気を呼んでいる。

 それは、同社がマルチルーム≠ニ呼んでいる、調理したものをカウンター越しに出せる約3.6畳大の畳敷きのもてなしの場≠提案していることだ。平たく言えば飲み屋か寿司屋のカウンターのようなものだ。標準プランではキッチンと壁で隔たっている「納戸」だが、壁に窓を設けてキッチンと対面できるスペースとしたのだ。畳の間は床面から段差を設けているので、キッチンと向かい合って膝が入る工夫も凝らされているし、上がり框も設けられている。

 親子、夫婦が会話を交わすのに絶好のスペースだし、調理好きにとってはお客様をもてなす最高の仕掛けだ。

 このタイプは専有面積が約111平方bの4000万円台の角住戸(13戸)だが、来場者の評判がよく、残りは1戸のみだという。

 同社は、プラン次第では郊外の高額住戸でも売れることを示して見せた。このほか、玄関サイドに坪庭、和室に雪見窓を設置するなどの提案も行っている。ロフト付きの提案も行っている。プラン全体がワイドスパン中心なのもいい。

 最近のマスコミは郊外・遠隔マンションの売れ行きが悪化=\―などの記事を書いている。マクロ的にはその通りだ。しかも、ユーザーに受け入れられそうにない安かろう悪かろう≠ニいう物件が多いのも事実だ。

 しかし、当欄で紹介したようにプロパストの「プラーザ・ヴェール」のように極めて好調に売れている物件も少なくない。「FESTA TOWN」も郊外不振≠フ喧伝を打ち破る物件になることを期待したい。

 ちなみにマルチルーム≠ヘ同社事業部内のモデルルーム課≠ニ呼ばれる女性スタッフ6人が考えた提案だという。たしかに男性では絶対に思いつかない提案だろう。調理もする記者だが、これには脱帽するしかなかった。

 

(牧田 司記者 4月11日)

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