RBA HOME> RBAタイムズHOME >2007年 >

 

愛宕山を眼下に見下ろす

三井「パークコート虎ノ門 愛宕タワー」

「パークコート虎ノ門 愛宕タワー」完成予想図

 

設計は清水建設 鹿島「虎ノ門タワーズ レジデンス」と双璧

 三井不動産が4月中旬から販売を開始する「パークコート虎ノ門 愛宕タワー」を見学した。

 東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩4分の港区虎ノ門3丁目の一角で建設中の30階建て全231戸(販売戸数228戸)の規模だ。専有面積は約42〜192平方b、価格は5740万〜5億3000万円、坪単価は527万円。設計・施工は清水建設。

 現地は風致地区に指定されているエリアで、「愛宕グリーンタワー」はあるが分譲マンションの供給事例はほとんどないところだ。足元には愛宕山の借景が広がる。敷地は元民家とお寺。総合設計の採用により容積率は440%から600%へと割増されている。

 周辺の環境に配慮し、落ち着いた「和」のテイストを外観や共用部分に導入しているのが最大の特徴だ。石匠・和泉正敏氏とテキスタイルデザイナー・須藤玲子氏のオブジェやデザインを共用部分などに採用。和泉氏はイサム・ノグチと共同で石彫制作を続けていたという世界的な石匠。須藤氏は、マンダリンホテル東京の布の作品でもおなじみだ。

 建物・プランは、平均間口約12メートル、角住戸にはコーナーサッシを採用して開放的なプランを実現し、スケルトン・インフィルを採用しているのが特徴だ。

 モデルルームに当てられている191平方b(価格5億2000万円)のメゾネットタイプは、広さ約36畳大、高さ約6メートルの吹き抜け空間が設けられている度胆を抜くものだ。ブビンガのフローリング、シカモアの突き板、紫の塗り壁、須藤氏の布の作品をサンドイッチにしたガラスドア、 2121 のラグジュアリビューバス、玉砂利を敷き詰めたルーフバルコニー、東京タワーを眺めながらお茶が楽しめる和室…。

 記者は、これまでも数え切れない億ションを見学してきたが、これほどインパクトのあるものはそうない。昨年見学した「赤坂タワーレジデンス」のマーク伊東氏の約235平方bのモデルルームも凄かったが、趣は全く異なる。

 その一方で、第4回三井住空間デザインコンペで最優秀賞を受賞した太田理加氏のプランを採用、モデルルームでも公開しているのも興味深い。引き戸を多用したプランで、豪華モデルルームと比較すると見劣りがするが、若い建築家・デザイナーを発掘・育てる意味でその意義は大きい。

 欲を言えば、引き戸のほか徹底したユニバーサルデザインを追求して欲しかったし、引き戸もソフトクローズ機能を持たせて欲しかった。

 施工が清水建設というのも注目だ。かつて三井&清水のコンビでヒット作を供給してきたが、最近はめっきり少なくなっている。再び増える傾向にあるというから、これからが楽しみだ。

 同じ虎ノ門エリアでは、一昨年に鹿島建設が素晴らしい「虎ノ門タワーズ レジデンス」(坪単価503万円)を供給(販売は三井不動産レジデンシャル)しているが、同エリアの双璧のマンションだろう。

 一般分譲を前に会員優先分譲が行われ、129戸が最高9倍、平均2.34倍で即日完売している。305組が申し込んだというから、単純な計算でも一般分譲しなくても売れる数だ。

         広さ36畳大、高さ6メートルの吹き抜けリビングが圧巻。坪単価は約900万円だが、
         それだけの価値は十分ありそうだ。すでに会員優先で契約済みだ

 

(牧田 司記者 3月15日)
ページトップへ戻る