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  ポラス 大きなコモン付き 「越谷ゆいまーる」

敷地延長の難点を払拭 庭先にケヤキとビオトープ


「越谷ゆいまーる」街並み(コモン中央にケヤキが植えられている)

 

コンセプトはえんのある暮し

 ポラスグループの中央住宅は12月7日、越谷市のコンペに当選した大きなコモンスペースのある建売住宅「越谷ゆいまーる」(全8棟)を報道陣に公開した。越谷市の同区画整理事業「ふるさとの顔づくり計画(潤いとやすらぎのある、人にやさしい、自然共生の街づくり)」にふさわしい街並みを誘導する企画コンペに当選したものだ。

 東武伊勢崎線せんげん台駅から徒歩27分、または大袋駅から徒歩24分、埼玉県越谷市都市計画事業西大袋土地区画整理事業地内に立地する全8棟現場。土地面積は156.57〜227.73平方b、建物面積は108.05〜119.23 平方b、販売価格は4360万〜4790万円。構造は木造2階建て。

 コンセプトはえんのある暮し=Bゆいまーる≠ニは、沖縄の方言で「縁を廻らす」「支えあう」という意味で、家族や近隣との絆、文化や風土など縁を紡ごうという試みが随所に施されている。

 もっとも特徴的なのは、街区中央に全敷地の25%(戸建て1棟分)にあたる「コモン」を設けていることだ。コモンそのものは公道ではなく、各住戸の敷地・敷地延長部分からなり、各戸が少しずつ敷地を供出する形を取っている。さらに各住戸は道路から1メートルセットバックして建てられ、そのセットバック部分はグリーンベルトとして植栽が施されている。このため、各住戸間のフェンスなどは設けられておらず、公開空地となっている。

 例えば、メインエントランスの西ゲートに面しているコモンは、4住戸の敷地の一部で構成されており、奥まった2住戸の敷地延長部分がそれぞれ幅2メートル、エントランスに面した2住戸がそれぞれ幅1メートルの敷地を供出している。コモン中央には大きなケヤキが植えられており、雨水を利用したポンプ、ビオトープも設けられている。

 これによって、通常なら奥まった2住戸は敷地延長部分が多いため、通路も狭く圧迫感を感じるが、他の住戸の敷地がコモンスペースとして提供されているため、開放感があり、みずからの庭先のように利用できるメリットが生まれている。

 このほか、各住戸のアプローチ、駐車場はコモンに向って向き合う形になっており、住民同士のコミュニティが増進されるよう工夫されている。

 各住戸は、外観、カラーリング、工作物などが地区計画、住民協定、管理組合規約などて規定されており、街並み景観を重視した設計となっている。住戸プランはユニバーサルデザイン、無垢フローリングや天然素材の壁紙、左官壁などが採用されている。また、建築物の環境性能を評価する「CASBEE(キャスビー)」戸建て編で全棟Aランク(一部Sランク)を満たしている。

コミュニティ形成≠アれからの大きなテーマに

 記者は、これからのマンションも建売住宅もコミュニティ≠ェ商品企画の大きなポイントになると思っている。同社が今回試みた「コモン」は、既に昭和の時代から各社が取り組んできたものだ。故・宮脇壇氏は各地の団地でこの思想を盛り込んでいたし、積水ハウスが8年前に分譲した「コモンシティ伊奈学園都市」でも素晴らしいコモンが設けられていた。

 今回のポラスの団地は、敷地延長部分をコモンに当てるという点で極めて珍しいケースではないかと思う。敷地延長の難点を完全に払拭したのが注目される。良好な街並み形成、コミュニティ形成のために是非とも成功させて欲しいものだ。同社では、この街づくりを教材にして主婦を対象にオープンカレッジを開くという。どのような声が出てくるかも楽しみだ。


雨水を利用したポンプ(この先にビオトープがある)


(牧田 司記者 12月8日)

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