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フージャースコーポレーション

 マンション空白区の「伊奈(羽貫)」で206戸早期完売へ


「グランディーナ」完成予想図

 

 厳しい市況が続く郊外・遠隔マンションの中で極めて好調な売れ行きを見せているマンションを紹介しよう。フージャースコーポレーションの「グランディーナ」だ。同社開発事業部・矢島敏明部長に「売れないマンションの記事など書きたくないので、よく売れているマンションを紹介して欲しい」と言ったところ、「伊奈町のマンションがよく売れている」と、このマンションを紹介されたのだ。

 埼玉新都市交通伊奈線羽貫駅から徒歩4分、埼玉県北足立郡伊奈町伊奈特定土地区画整理事業地内でこのほど完成した14階建て全206戸の規模。専有面積は約75〜101平方b。坪単価100万円。施工は鴻池組。入居予定は平成19年12月。 隣接地の戸建て街区(73戸)との複合開発でもある。分譲開始は今年1月で、残りは6戸だから完売は間近だ。総来場者は1000件を突破している。

 「伊奈町」と聞いて、最初は見学するのをためらった。都心から2時間近くかかるからだ。関係者の中には伊奈町という地名だけは知っていても、実際に行ったことがある人は少ないはずだ。マンションが分譲されるのは10年ぶりということらしく、記者もそのマンションのことは記憶にない。

 建売住宅の取材では一度訪ねたことがある。8年前だ。 「花鳥風月」をテーマとした積水ハウスの建売住宅「コモンシティ伊奈学園都市」(全172戸)を見学して以来だ。素晴らしい団地で、2000年の「彩の国さいたま景観賞」を受賞している。

 降り立った羽貫駅周辺は8年前と変っていた。当時は何もなかったが、駅周辺には店舗らしきものも建ち始めていた。それでもこのエリアで206戸ものマンションが売れるなどとは信じられなかった。

 購入者の居住地は地元と地元の近隣地域が約半数、残りは大宮、浦和、北区など。広さと価格の安さを求める人が多かったという。年代は30歳代の子育てファミリーが中心で、戸建てからの買い替えで終の棲家≠ニして購入した熟年層が約3割を占めた。勤務地は地元と地元周辺が半数で、3〜4割りの人はシャトルを利用して都内方面に通勤する人だという。

 最大の人気の要因は、隣接する商業施設との複合開発であるという点だ。全31店舗からなる「ウニクス」が隣接地ですでにオープン済み。このほか、小学校、中学校、高校、保育所、公園なども近接している。

 設備仕様は高くはないが、なにより広くて居住性能が優れているのが魅力だ。住戸プランは8〜9メートル台のワイドスパンが中心で、二重床・二重天井も採用している。ランドプランもいい。外構は都市環境デザイナーの平山郁朗氏が担当。平山氏は、故・宮脇壇氏に師事、鹿島建設の「フォレステージ高幡鹿島台」でグッドデザイン賞を受賞している。

 この物件とよく似たマンションでは、タカラレーベンが2年前に分譲して人気になった川越線南古谷駅圏の「レーベンスクエア」(全363戸)がある。やはり大型複合商業施設「ウニクス」に隣接していた。三井不動産レジデンシャルの最近のパークシティ≠烽アういった商住一帯開発が多い。厳しい市況を乗り切るヒントがここにある。

 

(牧田 司記者 12月3日)

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