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30年前に逆戻り 専有面積圧縮に思う

 

夫婦の部屋は8畳大ぐらい欲しい

 マンション見学をしていて気になることがある。地価・建築費の高騰で新価格マンションばかりになってきたが、専有面積圧縮によって分譲価格を抑えるという、従来の手法が横行していることだ。

 先日、ある郊外マンションを見学したときだ。数十戸の規模で、ほとんどが18坪、19坪の3LDKだった。間口は6.2メートル前後だ。

 当然、窮屈な間取りとなっていた。主寝室も和室も6畳大で、洋室は4畳大か4.5畳大ぐらいしかない。キッチンは3畳大、リビングダイニングは10畳大ぐらいしかない。収納が極端に少ないのも当然だ。

 このような間取りのマンションは昭和50年代にいやというほど見せられたものだ。当時、3LDKといえば20坪(約66平方b)というのが一般的で、それ以上の広さのものは広めのLDK≠ニして広告宣伝されていた。18坪、19坪のLDKというのも珍しくなかった。

 昭和60年代から平成の時代にかけて、3LDKというのは70平方b以上ないとその機能を果たさないというのが業界の共通した認識になったように思う。昨今の18坪、19坪の3LDKマンションは、30年も昔に逆戻りした観がある。

 専有面積が狭いのがいけないというのではない。少子高齢化の時代に入り、子どもは1人という家族や単身、DINKSなどの小家族も増えている。このような層には部屋を細切れにしなくて、1LDKとか2LDKにしたほうが使いやすいだろう。

 さらにもう一つ。20坪ぐらいのLDKといえば洋室2室が6畳大、和室が6畳大というのが一般的だ。この間取りだと夫婦の部屋は和室になり、子ども2人の場合はそれぞれが6畳大の部屋を与えられ、1人の場合はもう1室は多様な使い方をされることになるのだろう。

 記者がどうしても解せないのは、どうして夫婦の部屋が子ども部屋と同じ広さなのかということだ。子どもに6畳大の部屋を与える親も悪いが、そのような間取りのマンションを分譲するほうがもっと悪い。

 子ども部屋は、正方形の4畳半では使い勝手が悪いかもしれないが、5畳大で十分だ。6畳大の洋室をそれぞれ5畳大にすれば、計算のうえでは主寝室は8畳大にすることができる。夫婦の部屋はこれぐらいあってしかるべきだ。余裕があるなら、夫婦それぞれ居室があっていい。

 最近は子育て≠テーマにしたマンションが増えている。結構なことではあるが、それ以上に夫婦の関係がよくなるようなマンションを供給すべきではないか。夫婦の関係がうまくいかなければ、子どももいい子に育たないのは間違いない。

 専有面積圧縮という姑息な手段で地価や建築費の上昇を覆い隠すデベロッパーは、消えてなくなった方がいい。

 

(牧田 司記者 11月12日)

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