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東京建物「伊勢崎東部ショッピングモール (仮称)」起工式


「伊勢崎ショッピングモール(仮称)」完成予想図

 

「同施設は約2500人の雇用を創出する」畑中社長

 東京建物は11月6日、群馬県伊勢崎市で開発を進めている「伊勢崎東部ショッピングモール(仮称)」の起工式を行った。

 同施設は、同社初の郊外広域商圏型ショッピングセンターで、敷地面積は約10万平方b、延べ床面積約10万平方b。JR両毛線伊勢崎駅から北東約3.5キロに位置し、北関東自動車道・伊勢崎 IC から国道17号線を南に約2.5キロの距離にある。2011年には、関越自動車道に直結する北関東自動車道が茨城・栃木を含めて全面開通し、交通利便性の向上が見込まれている。半径15キロ圏の人口は約90万人。施設開業は来年秋で、年間来場者数は約1100万人、売上高250億円を見込む。

 伊勢崎市は桐生市・太田市・深谷市・本庄市・高崎市・前橋市に囲まれており、人口は約20万人。群馬県下で4番目。産業集積が活発で、人口もニューファミリーをはじめとして順調に増加している。

 同社は、こうした優良マーケットと高い立地ポテンシャルを背景に、周辺には存在しなかった新しいライフスタイル発信と地域コミュニティの拠点として、ほかにはない新しいもの、新しいことに出会え、「3世代親子」が買物を楽しめるようなものにしていくという。

 起工式に先立って行われた記者発表会で畑中誠社長は、同社の都市開発、住宅開発、商業施設事業などを紹介しながら「当施設は、アクセスがよくポテンシャルの高い当社初の郊外型施設で意義深いものがある。地域の皆さんに喜んでいただける施設にしたい」と語った。また、「開業によって約2500人の雇用機会を創出できる。地域の活性化に貢献したい」と述べた。

東建の地域活性化貢献に期待


記者発表する右から畑中社長、同社取締役商業施設事業部長・乾武生氏


 記者は、伊勢崎市を訪ねるのは初めてだった。出身の三重・伊勢とも関係の深い市だ。人口20万人だから、伊勢市のほぼ倍だ。驚いたことに、降り立った伊勢崎駅前には、飲食店など商店らしきものがほとんどなかった。中心市街地は他にあるのだろうとは考えたが、似たり寄ったりだろうと推測した。どこの地方都市でもそうだが、中心市街地の衰退は目を覆うばかりだ。

 会見会場へのタクシーの中で、東京建物は地域活性化にどのように貢献するのか、できるのかをずっと考えた。

 その会見の中で、畑中社長が「同施設は約2500人の雇用を創出する」と語ったのを聞いて、救われた気持ちがした。デベロッパーの果たす役割を再認識した。

 詳しい統計はわからないが、市内の商業従事者総数は約1万8000人だから、その約14%の人の雇用が新たに生まれる。隣の太田市には富士重工が約6000人の従業員を擁する工場を持っているが、同施設の2500人という数字は、相当な数字にのぼるに違いない。テナントとして入居したいと打診があった県内企業も20〜30社ぐらいあるという。

 疲弊する地方都市の活性化には、雇用の確保・創出が絶対条件だと思う。同施設はその条件を満たしている。できれば、地場で取れる生鮮野菜や、その他の第一次製品、第二次製品なども活用してほしい。デベロッパーこそが、地域活性化のコンダクターとしてもっともふさわしいと記者は思うからだ。

 もう一つ、考えなければならないことがある。中心市街地の再生・活性化だ。車社会の進展が大型商業施設の郊外立地を可能にした半面、皮肉なことに中心市街地の荒廃を招いた。帰りのタクシー運転手は「ショッピングセンターはみんな歓迎しているんじゃないですか。街中の商店街? 死んだ街になっています。駐車場がないからダメでしょう」と語った。

 伊勢崎駅では、駅員さんに1日当たりの乗降客数を聞いた。返ってきた応えは「調査、ないんです。高崎(支社)に聞いてもらえば分かります」だった。ネットで調べたら約5300人だった。年間にして200万人弱だ。一方の東京建物の施設は年間1100万人の来場を見込む。車社会の進展は、鉄道事業にも大きな影響を与えている。

 

(牧田 司記者 11月6日)

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