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住まいづくりに向井、宮沢、笠原各氏が積極発言


埼玉県住まいづくり協議会の平成19年度住月間シンポジウム(埼玉コルソソホール)

 

埼玉県住まいづくり協議会が住月間シンポジウム

 埼玉県住まいづくり協議会(宮沢俊哉会長・アキュラホーム社長)が10月26日、平成19年度住月間シンポジウムを開いた。さいたま市生まれで、テレビ、ラジオ出演のほか全国で講演活動を行っている向井亜紀さんが「命を育む住まいづくり」と題する講演を行ったほか、笠原高治氏(同協議会相談役・ポラス理事)の司会で宮沢氏と樋口和男氏(埼玉県総合調整幹)の「これからの住まいのあり方について」の座談会が行われた。一般の人やリフォーム関係者など約300人が参加した。


向井亜紀さん

 向井さんは、自らのこれまでの生活を振り返りながら、街づくりや住まいづくりについて、以下のような示唆的な発言を行った。

 「埼玉県はいいところがたくさんあるのに、宣伝が下手。私の愛する故郷であるがゆえに苦言を呈したい」

 「埼玉県の旅館に宿泊したが、よく来てくれました≠フ言葉がなかった。旅をして一番嬉しいのは料理や施設の素晴らしさではなく、もてなしの心」

 「埼玉は終の棲家でなく、東京の第2希望の住み家になっている」

 「私の育った新興住宅地は、同じ年代、同じ世帯構成の人が一度に入居したが、それが結果的に子育てなどの競争を生んだ」

 「母が車椅子生活になったが、住宅はバリアフリーになっていない」

 「著名な建築家はガラス張りとかコンクリート打ち放しなど、デザイン重視の見てくれのいい住宅を造るかもしれないが、夏は暑いし、冬は寒い。冷暖房は業務用が必要だった」

 「父は、最初東向きの平屋を建てた。子どもが生まれて2階建てにし、南向きの部屋を増築した」

 座談会は、それぞれの立場を超えて個人として発言することを前提に進められ、忌憚のない発言が相次いだ。

 この中で、宮沢氏は第4の価値創造、感性イニシアティブ≠重視した住まい造りを進めたいと語り、@たくみの心Aふるまいの心Bもてなしの心――の3つの心を基本にした日本の住文化を考え直したいなどと述べた。

 笠原氏は、これまでの住まいづくりで失われた大きなものとしてコミュニケーションを上げた。笠原氏は「200年住宅が言われているが、20年ごとにハードをリフォームすればそれは可能かもしれないが、コミュニケーションがなければ機能しない」とも述べた。また、「建基法の改正は性能規定化に走りすぎで、今回の法改正は国交省発の住宅不況を招いた」などとも発言した。

 樋口氏は、行政の耐震補助の申請が少ないのはタテ割り行政にもその原因の一端があると認めた。住生活基本法では、健康維持促進プロジェクトが盛り込まれていることを強調した。

 講演会も座談会も、極めて重要な問題が提起されたと記者は思った。一つひとつを真剣に論じあう機会も今度は是非設けて欲しい。


左から笠原氏、宮沢氏、樋口氏

 

(牧田 司記者 10月29日)

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