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構造計算書偽装またも マンション販売現場に声を聞く

「お客様の視点からすれば、物件名の公表を」

 

 またまた構造計算書の偽装が発覚した。構造計算書の偽装は平成17年11月の姉歯事件をきっかけに噴出したが、ようやく収拾がついたと思われるこの時期にまた発覚した。名前があがった積水ハウスは杭打ち段階で工事を中止し、大事には至らなかったが、偽装の可能性のある案件は50件もあるという。うち30数件が集合住宅というから、分譲マンションの可能性も大きい。

 これから再び偽装物件探しがマスコミの間で広がり、デベロッパー各社も当社は無関係≠ニいう潔白宣言作業に追われる。衝撃が走った今日、マンション販売現場にその影響、対応などについて声を拾った。

 無作為にマンション販売現場に約30件ほど電話したが、事件を知らない営業マンが1人いたことにはビックリしたが、それだけ忙しかったのだろうと善意に取った。多くは「本社に聞いて欲しい」「忙しい」「ノーコメント」だったが、次のような声が聞かれた。

●前回(姉歯事件)も売上げは落ちなかった。今回も影響は少ないのではないか

●私は新入社員。留守番しているだけ。分かりません

●当社は一切問題ない。私見だが、悪いものは悪いと名前(事業主など)を公表して欲しい。入居されている方の意向もあるでしょうが、お客様の視点からすれば公表すべき。このままでは不安が増大するばかり

●前回ほど影響はないのではないか。前回は問い合わせが結構あったが、今回はまだない。性能評価書を取得し、第三者機関にも入ってもらって、しっかりお客様には説明している

●せっかく収まってきたのに…。当社は性能評価書を取得しているが、これから購入を先延ばしされる方が増えないか心配

●このマンションは免震工法が評価されている(ある免震マンション)

●影響はない。性能評価書を始め図面でしっかり説明しているし、ゼネコンさんによる説明会も行っている

●ずっと前のことなので…(昨日、発覚したことを知らなかった)

 記者は、設計を担当した大手の松田平田設計が、遠藤孝建築士が構造計算に関わっていたことを知らなかったというのもさることながら、遠藤孝建築士が忙しくてとりあえず偽装し、あとで修正しようと思った≠ニ語ったと報じられていたことが気にかかった。

 この偽装の手口は、田村水落設計や月岡彰構造研究所と同じだし、藤田東吾氏が「このほかにも耐震偽装はある」と主張していたのを裏付ける格好となった。

 人の生命・財産にかかわる仕事をしている建築士がこのように偽装を繰り返すのが信じられない。士(さむらい)≠ェいなくなったということか…。「僕は先生と呼ばれるほど馬鹿じゃない」と、ある建築士が自嘲気味に語っていたのを思い出した。

 

(牧田 司記者 10月16日)

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