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トータルブレイン・久光龍彦社長に今後のマンション市場を聞く

供給量は6万5千戸前後 ブランド格差広がる

トータルブレイン・久光社長

 

新々価格を供給して評価を受けるのも一法

 首都圏マンション市場の雲行きが怪しくなってきた。来場者が減り、完売まで時間がかかるようになってきた。新価格は一部の物件を除き、浸透度はいま一つだ。そこで、マンションコンサルタント会社のトータルブレイン・久光龍彦社長に今後の動向を占ってもらった。

 −−マンションの売れ行き悪化が懸念されるが
 今年前半は供給が減り、郊外部を中心に契約率も低下。大手ブランドとそうでないところとの格差も拡大した。地価・建築費の上昇も目立った。

 後半はより市場は厳しくなる。供給量は6万5千戸前後と読んでいる。
 契約率も、過去3年間は80%前後で推移してきたが、今年前半は75%と5%ダウンした。後半はさらに悪化する。

 顧客の購買力が上がっていないのがその大きな要因の一つだ。金利上昇も当分はなく、買い急がない。様子見の姿勢が強まっている。これまでは、賃貸より分譲を買ったほうが得という動きにあったが、現在は分譲価格上昇率が、賃料上昇率をはるかに上回り、その構造が崩れてきているのも大きい。

 分譲各社は、これまで供給を先送りしてきた新々価格を出さざるを得ない状況にあるが、未着工のところは着工せずに処分する動きも出てきそうだ。供給が減ると見ているのはこのためだ。千葉、埼玉方面の物件は、民間の売れ行き調査データより、実情ははるかに悪いのが実情だ。各社とも供給拡大より、腰が引けている状態だ。

 −−それでは各社はどうすればいいか
  私は、駅近以外は、市場の活性化を一時も早く図るため、各社は一斉に新々価格で供給すべきだと考えている。待っていても市場は動かない。新々価格を供給して、ユーザーの評価を受けるべきだろう。綱引き状態から脱却しないと、次の手が打てない。

 しかし、新々価格は当面は売れないだろうから、販売が長期化するのは避けられない。各社の体力次第だが、竣工から1年ぐらいかけて売るという覚悟も必要だ。

 −−大手とそうでないところの格差拡大も深刻だが
 私は、以前は大手・準大手と中堅以下とのブランド力を価格に換算すると5%ぐらいだと見ていた。ところが、現在は15%ぐらいだと見ている。同じ商品なら、中堅は大手物件より15%価格を下げないと売れないということだ。

 −−中堅の生き残る道は
 大手とバッティングしない商品づくりをすべきだ。ターゲットをワンランク下げる、小型でも好立地に特化する、ブランド力を上げる、販売力を強化するなどだ。

 商品企画では、康和(地所)さんのような外断熱に特化するとか、モリモト、プロパストさんのようにデザイン力を強化して差別化を図るべきだ。

 −−中長期的な展望はどうか
 どこの業界でも業界再編が激しいが、デベロッパーの再編も必ずあると見ている。ブランド力、資金調達力、情報収集力で優る企業グループを中心に系列化、グループ化が進む。ここ2年間は辛抱の時代だ。

 

(牧田 司記者 10月1日)

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