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外資系ホテルの東京進出 14年間で9施設約2600室

9月28日に帝国ホテル内で行われた三井不動産と帝国ホテルの共同記者会見

 

「スモールラグジュアリには負けない」帝国ホテル・小林社長

 三井不動産との共同会見で、帝国ホテル・小林哲也社長は、「外資系の進出や、ホテル経営と運営の分離が進むなど、益々厳しくなっている」とホテル業界について語った。近年、東京に進出した主な外資系ホテルを紹介してみよう。(  )内は所在地、開業年/月、客室数の順)

・「フォーシーズンズ椿山荘東京」(目白、1992/1、283室)
・「パークハイアット東京」 (新宿、1994/7、177室 )
・「ウェスティンホテル東京」(恵比寿、1994/10、438室)
・「フォーシーズンズホテル丸の内東京」(東京、2002/10、283室)
・「グランドハイアット東京」(六本木、2003/4、389室)
・「コンラッド東京」(汐留、2005/7、290室)
・「マンダリンオリエンタル東京」(日本橋、2006/12、179室)
・「ザ・リッツ・カールトン東京」(六本木、2007/3、248室)
・「ザ・ペニンシュラ東京」(日比谷、2007/9、314室)

 この14年間で9施設約2600室になる。いったい東京にどれだけの数の一流<zテルがあるのか記者には分からないが、少なくないシェアを占めているのではないか。

 これらの外資系ホテルと比較して、わが国のホテルは立地・スケールは引けはとらない。むしろ上回っているものばかりだ。しかし、施設の老朽化・陳腐化が目立ち、非日常の演出では見劣るといわざるを得ない。

帝国ホテル、ホテルニューオータニ、ホテルオークラのわが国の「御三家ホテル」に対してフォーシーズンズ、パークハイアット、ウェスティンの外資系ホテルが「新御三家」と呼ばれ、主役の座を奪われてから10年以上経過する。

 この間、わが国の高級ホテルは、「セルリアンタワー東急ホテル」(渋谷、2001/5、414室)、「ザ・プリンスパークタワー東京」(2005/4、637室)くらいしか開業されていない。

 帝国ホテルも、85〜90年に160億円を投入して施設の第1次リニューアルを行い、さらに05年度から5カ年計画で170億円をかけた第2次リニューアルを行っている。約32平方bの隣り合う客室を1室にした客室は人気のようだが、計画では40室に過ぎない。1000室を超える全客室に占める割合は微々たるものだ。

 小林社長は、外資系の相次ぐ進出に「スモールラグジュアリに負けるとは思わないし、負けていない」と強調した。同ホテルと目と鼻の先にオープンした外資系のザ・ペニンシュラ東京などとはコンセプトが異なると語った。

 しかし、かつてのようにホテルで大宴会を行い、大量宿泊する団体旅行の時代ではないのは明らかだ。小林社長も「リニューアルだけでは限界がある。将来的には建て替えも必要。多様な選択枝を検討したい」と語ったように、建て替えを前提にした再構築が迫られそうだ。

 帝国ホテルの三井不動産傘下入りは、このほかの老舗ホテルのグループ化、系列化など業界再編を加速させるのは間違いない。

 

(牧田 司記者 9月30日)

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