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「劇的に数値が向上したマンション環境性能表示」

東京都が制度施行からもうすぐ2年

 東京都が「マンション環境性能表示」を平成17年10月から施行してもうすぐ2年になる。@マンションを購入しようとする人に情報を提供し、環境に配慮したマンションを選択しやすいようにするA環境に配慮したマンションが市場で評価されるしくみをつくるBマンション建築主の自主的な環境配慮の取組を促す――ことで家庭部門の温暖化対策を推進するもの。

 平成17年10月1日以降に東京都に建築物環境計画書を提出した延床面積10,000平方b超の新築又は増築の分譲マンションで、おおむね住戸数100戸以上のマンションが対象だ。

 対象となるマンションの事業主は、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)に基づき、「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「建物の長寿命化」「みどり」の4項目の評価について、星印(★)の数で示したラベルを、販売広告に表示することが義務付けられている。

 これまで61物件がこの制度により、広告表示で公表されている。

 都の環境局都市地球環境部環境配慮事業課長・山本明氏は、これまでの成果について次のように語った。

 「当初は4項目で★2つ合計★8つを想定していたが、平成18年度末で平均★9つになっているように、劇的に数値が上がってきたと実感している。技術面やコスト面で難しい『長寿命化』の★3つは少ないが、『断熱性』『省エネ』『みどり』はいずれも17年度より向上している。全て★3つはハードルを高く設定しているので今後とも難しいかもしれないが、任意届出制度をすでに実施している。これからは面積要件の引き上げも検討し、地球温暖化防止対策を推進していきたい」と語っている。

東京都環境局ホームページから抜粋

税制面での優遇措置には否定的

 記者は、この制度が実施されてからずっと注目しつづけてきた。ところが、4項目全て★3つ(合計12個)は昨年、明豊エンタープライズが分譲して人気を呼んだ「シェルズ木場公園」1物件のみで、★11個も京浜急行・NTT都市開発「ウェルスシティ大森タワー」、オリックス不動産「レコシティグランデ」、有楽土地・平和不動産「桜堤庭園フェイシア」、コスモスイニシア「コスモスイニシア千住曙橋」の4物件しかない。

 各デベロッパーが★の数を増やし、ユーザーも★の数の多いマンションを選択するようになるには、★の数の多少が具体的な数値で分かるようにすることや、固定資産税や都市計画税などの税制面で優遇策を取ることが必要だと考えている。

 これに対して、都は「★の数ではわかりづらいという指摘は聞いているが、住まい方など条件によって数値的に変化が大きく、定量的につかみづらい」とし、事業主や購入者に税制面でインセンティブを与えることについても「一部のマンションだけが対象になっており、公平性に問題がある。今のところ税制面での減免措置は考えていない」と否定的な考えを示した。

 

(牧田 司記者 8月31日)

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