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地価上昇に便乗 度し難いマンション商品企画

 夏季休暇明けしょっぱなにこんな記事は書きたくなかった。でも書かずにいられない。業界のためでもあり、ユーザーのためだ。あまりにも見学したマンションの商品企画がひどかったからだ。

 ここで事業主もマンション名も明かすわけにはいかないが、事業主はマンション供給大手、物件は都心の大型マンションとしておこう。坪単価は300万円を突破している。

 何がひどかったのか。第一に住戸プランだ。驚いたのは、ほとんどが小家族向けからファミリー層向けの2LDK〜3LDK、専有面積にして60〜70平方b台なのだが、メインのスパンは6メートル前後だった。20坪の3LDKなどは5.6メートルスパンだ。昭和50年代に流行したプランで、このタイプが全体のほぼ3分の1を占める。

 間取りは当然ながら平凡なセンターインの田の字型で、LDは10畳大しかなく、隣接する洋室(和室)は6畳未満、主寝室も6畳大で、もう一つの個室は5畳大しかない。収納が極端に少ないのはいうまでもない。

 設備仕様も、坪300万円を突破しているものとはとても思えない貧しいものだった。浴室はほとんどが1317サイズ、キッチンは3畳大、ドア・収納扉は開け閉めのたびにあちこちで衝突する。

 二重床・二重天井で、LDの天井高は2600ミリなのだが、パンフレットに階高表示はなく、スラブ厚は180ミリ(一部150ミリ、210ミリ)、床下のふところ厚は約120ミリとあった。記者は技術的な知識はないが、これだと二重天井は名ばかり、単なる意匠的なデザインに過ぎないのではないだろうか。

 唯一、目を引いたのは、パンフレットいわく気品漂う天然大理石≠使用した玄関だった(いかにも薄そうなのが素人目にも分かったが)。その一方で、洗面カウンタートップは美しい人造大理石£」りだった。

 天然大理石と人造大理石にわざわざ気品漂う≠竍美しい≠フ形容詞をつける、その貧しい発想力は度し難いと言わざるを得ない。

 地価上昇に便乗しただけのこのようなマンションが売れるとは思えないが、このデベロッパーの業績は絶好調だ。

 

(牧田 司記者 8月21日)

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