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もっとトータルなデザインを考えるべき

 

 デザインの優劣がマンションの売れ行きを左右するにもかかわらず、コスト圧縮のためだろうか、手抜きをしている物件が多いのが気になってしょうがない。デザインを建物の外観意匠やカラーリングなど限定的にとらえているのではないかという物件も少なくない。その意匠、カラーリングも稚拙なものが多い。

 「デザイン」には、単に意匠することにとどまらず、製品の開発・設計することも含まれる。ここでいう「デザイン」とはマンションの外観や内装カラーリングだけでなく、あらゆるデザイン性についてである。

 意匠デザインについては、好き嫌いもあるので何ともいえないが、百聞は一見にしかず。当欄でも何度も取り上げた鹿島建設「加賀レジデンス」の見学を勧めたい。同業であっても、同社は快く見学に応じてくれるだろう。同社の施工技術がないとできないのだろうが、とにかく美しい。余分な出っ張りがまったくなく、内装カラーリングも白が基調で、どんな建具にも染まる色だ。

 デザイン性に優れた多くのマンションを供給しているのがプロパストだ。同社は商品企画はいうまでもなく、パンフレットを入れる紙袋からモデルルームに飾る花1本、建具の金物に至るまで徹底したトータルデザインを追及している。

 森俊一社長は、内外のトップクラスのホテルに実際に宿泊して参考にしていると聞いたことがある。森社長自身もとてもお洒落だ。デザインを学ぶなら、一流ホテルを参考にしてはどうか。

 もう一社、デザイン力が抜群の中堅デベロッパー、モリモトもあげたい。供給する物件をことごとく早期完売しているのは、各プロジェクトに著名なデザイナーや建築家を起用し、差別化を図っているからだ。デザイン力によって価値を高めているからこそ価格が高くても売れることを同社は実証している。

 ユニバーサルデザインで突出しているのは扶桑レクセルだろう。ユニバーサルデザインについては、いうまでもなくマンションの商品企画にとってもっとも重要なファクターの一つだ。マンションデベロッパーのほとんどが、ユニバーサルデザインを重視しているというが、記者の目からすればまだまだ不十分だ。

 その点、扶桑レクセルは、廊下幅のメーターモジュール化を標準装備にし、トイレドアの幅を広くしたり、柱の角を丸くしたりしている。モデルルームで実体験できるコーナーも設けている。

 各社が、単にデザインを建物の外観意匠や内装カラーリングなどの問題に矮小化してしまったら、いつまでたってもデザイン力は高まらないだろう。

 

(牧田 司記者 8月9日)

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