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ブランド志向°ュまる一方 前半のマンション市場

大手各社の契約率 極めて順調に推移

 

 今年前半の首都圏マンション市場の概況がまとまった。マクロデータは民間調査機関を見ていただくとして、今年前半を振り返って、いくつか気になったことを数回に分けて述べてみよう。

 記者は今年前半、100件ぐらいのマンションを見学しただろうか。その多くは大手デベロッパーの、しかも人気になりそうな物件で、中堅以下の物件は20件もないかもしれない。中堅以下の物件を数多く見ないのは、残念なことだが、大手物件と比較して、中堅以下の物件は商品企画やデザインが見劣り、落胆させられるケースが多いからだ。

 そして、強く感じたのは、ユーザーの大手志向、ブランド志向が益々強まっているのではないかということだ。民間調査機関のデータを大手、中堅別に分ければその傾向は明確になるはずだし、大手各社の平成20年3月期の第1四半期決算でも裏付けられている。

 記者が注目したのは、今期計上戸数(戸建て含む)に対する第1四半期末の契約率だが、三井不動産は80%(前年同期80%)、三菱地所は83%(同76%)と極めて好調に推移している。

 住友不動産は60%(同66%)とやや低下しているが、これは同社が青田売りにこだわらず、完成販売に比重を移しているからで、売れ行きが悪いということではない。「ワールドシティタワーズ」のように完成しても売らずに72戸も次期以降の売上げに計上する物件もあるほどだ。

 前2社の完成在庫が極めて少ない一方で、住友不動産は1073戸もある。完成在庫を抱えれば販管費、金利負担も増えるが、右肩上がりの市場では在庫はプラスに働く場合もある。かつて、大京の横山修二氏は「在庫は年間供給量の1カ月分くらいあるほうがお客様の要望に応えられる」と語ったことがあるが、マンションのリーディングカンパニーを目指す同社もそのように考えているのではないか。業績も絶好調だ。

 住友不動産と対照的なのが野村不動産だ。同社は、先の「プラウドタワー千代田富士見」306戸を短期間に即日完売したように、売り出したら早期に完売する方針を徹底している。完成在庫はわずか17戸しかない。第1四半期末の契約済戸数も2321戸に達しており、前期末契約戸数の2340戸をすでに上回っているから驚きだ。

 このほか東急不動産が68%で、期初予想の55%を13ポイントも上回っている。藤和不動産は59%(同72%)とやや低下しているが、水準以上の数値であることには変わりはない。東京建物は数値を公表していないが「計画通り」としている。

 このように、大手各社のマンション契約率は極めて好調に推移している。今後、マンションデベロッパーの決算発表が続くが、その数値に注目したい。大手物件と異なり、中堅どころの在庫は根雪≠ノなりかねない。その理由は、次回以降に改めて書こう。

 

(牧田 司記者 8月6日)

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