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大京が40年の社史を編纂 全6000棟を網羅

 大京(田代正明社長)がまとめた「ライオンズマンション・ヒストリー 40年の軌跡」と題する社史を入手した。

 A4判コート紙で220ページにのぼるもので、奥付けには、発行日が2007年3月19日、編集者は落合英治(同社執行役グループ広報部長)、伊奈幸雄(同社広報室長)、大越武(元同社取締役広報部長)、飯田太郎(TARO都市企画社長)の各氏で、「グループ社外秘(非売品)」とある。

 「グループ社外秘」とあるものを、ここで公表したら同社からお叱りを受けるかもしれないが、大京の歴史はマンションの歴史だ。書かれている内容も、社外に漏れては困りそうなものはなさそうなので、あえて公表する。

 社史は、供給第一号マンションの「赤坂」から、6000号の「上野の森」まで全物件が紹介されているほか、記念碑的マンションも多数紹介されている。物件の名前を見るごとに、当時の時代背景やマンション市況が見えてくる。プロジェクトの紹介にとどまらず、それぞれの時代の住宅事情やマンションを取り巻く経済環境などについても詳しく触れられている。マンションの歴史を知る上でなくてはならない一冊だろう。社史を編纂した各氏に敬意を表したい。

忘れられない創業時の大京7人衆 

 記者と同社の付き合いは昭和55年、調布・日活跡地の大規模マンション「ライオンズマンション調布」(654戸)が分譲された頃からだから、もう27年も経つ。記者はその当時、このマンションの近くに住んでいた。654戸という数字は、今では決して多くない数字だが、大手デベロッパーを除き、当時のマンションデベロッパーとしてはそれこそ大規模開発だった。

 安倍徹夫氏が支店長で、部下に久永真一氏(現グローベルス社長)がいた東京支店や、原田利勝氏が支店長を務めていた横浜支店にはよく顔を出した。広報を通さず通ったので、記事にできる取材はほとんどなかったが、仕入れや販売のノウハウ、売れ行きの実態など全てを学んだ。

 供給する物件は調布、久が原、吉祥寺、新宿、千歳船橋、麻布、馬事公園、日吉、綱島、二子玉川、大倉山、成城など、名前を聞いただけで売れそうなものばかりだったのに驚愕したのを覚えている。

 残念なのは、大京の基礎を築いた創業時の幹部や上場に際して活躍した方々の話はほとんど出ていないことだ。名前が出てくるのは現幹部以外では横山修二、長谷川正治元社長ぐらいだ。

 社史を編纂した目的がプロジェクト中心ということだからやむをえないのだろうが、元リクルート社長・江副浩正氏をして「三井さんの頭脳と、大京さんの足腰が欲しい」と言わせた大京だ。当時の方々を登場させ、単行本にでもしたらベストセラーになるのは間違いない。

 記者が忘れられない当時の幹部7人衆を紹介しよう。横山社長の番頭格の安倍毅夫(安倍徹夫氏の兄)、瓜田善吉、原田利勝(現明和地所相談役)、安倍徹夫(現アンビシャス社長)、木原稔(現ケイボストン社長)、竹野允(現東和ホーム社長)、鈴木陽三(横山元社長の弟)各氏だ。

 この7人がオイルショック後の倒産寸前の大京(当時大京観光)を救った功労者だ。毎日、重いカバンを持ち飛び込み営業≠行い、小便に血が混じっていた∞電車の中で立ちながら眠った≠ニいう話はよく聞いた。各氏は横山氏のことをオヤジ≠ニ呼んでいた。

 現在の同社には、かつての幹部は1人も在籍していないのが残念だが、大京のDNAを引き継いでいる企業がたくさんあるのが救いか。安倍徹夫氏はアンビシャス社長として陣頭指揮に立っている。

 ついでながら、記者は2年前、同社がオリックス傘下に入ったとき、横山氏にコメントを聞きたくて自宅まで訪問したが、「もう第一線を退いているので…」と取材に応じていただけなかった。

 

(牧田 司記者 5月31日)

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